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曲がった羊かん、重なったボックス、○△□…「どうなってんの!?」“ナゾの建物”

日本の不思議な建物 #2

note

誰がなんと言おうと、「◯□△」

 

■◯□△ハウス
設計:石井和紘
竣工:1987年
住所:東京都江東区潮見1-5-6
地上5階

 誰がなんと言おうと、◯□△。ここまで明快に実現するのは稀有な例だ。

 臨海部の運河近く、交差点に面した建物。その頂部に円柱、四角柱、円錐が載せられている。上階が賃貸住宅のこの建物、角は円弧を描き、住戸の間取りは扇状に広がって納められている。

 立体の内部も住戸部分。緑と青に塗られた外観は、何の違和感もなくコンビニエンスストアを飲み込んでいるが、グレーの立体の存在感の前には霞んでしまう。

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 設計者の解説によると「殺風景なところで」「何とも惨めな状況を幾らかでも救い、住み手を元気づけるものとしたい」ことから、フランスのシャンボール城の列塔を引用。王宮の奢りをもたせたという。これが後に語り継がれる、江東のシャンボールの起源である。

写真=傍島利浩

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【前編】を読む

日本の不思議な建物101

加藤 純 ,傍島 利浩

エクスナレッジ

2016年12月18日 発売

曲がった羊かん、重なったボックス、○△□…「どうなってんの!?」“ナゾの建物”

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