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死刑の整合性

 日本の最高裁が示す現行法制下における死刑の選択基準は、以下の9項目(+2条)からなる。

(1)犯罪の性質

(2)動機

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(3)殺害方法の執拗性、残虐性

(4)殺害された被害者の数

(5)遺族の被害感情

(6)社会的影響

(7)犯人の年齢

(8)前科

(9)犯行後の情状

 これらに加えて、

「その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地(+1)からも一般予防の見地(+2)からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない」

 と判断したものが、いわゆる「連続ピストル射殺事件」の永山則夫に示した最高裁判決(83年)だった。これがいまでも「永山判決」として、死刑の判断基準となっている。

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 これをもとに裁判所は死刑の整合性を判断する。

 たとえば、2人の児童を殺害した畠山鈴香の場合はどうだったか。

 あるいは、同じ2人の命を奪った山口県光市母子殺害事件の場合はどうだったか。

 光市の事件の場合は、これで死刑でないのはおかしい、と最高裁が自ら控訴審へ差し戻している。

 そして、このなかで横山の弁護側がもっとも疑問とするのは、林郁夫と較べた時の「罪刑の均衡の見地」であった。それでも──。

 自らの手でひとりも殺していないはずの横山真人は、2007年7月、最高裁判所によって死刑が確定している。

私が見た21の死刑判決 (文春新書)

青沼 陽一郎

文藝春秋

2009年7月20日 発売