先日、交通新聞社から『相鉄はなぜかっこよくなったのか』と題する新書を出させていただいた。詳しくは中身を読んでいただけるとありがたいのだが、まあつまるところ相模鉄道とはどんな鉄道なのか、それを書いたのである。
そういうわけで、拙著をここで紹介(というか平たく言えば宣伝だ)させていただきたいのだが、問題がある。相模鉄道を知っている人がどれだけいるのか、という問題だ。
これまでの例にならって相模鉄道のどこかの駅を“ナゾの駅”として訪れたいところだ。けれど、そもそも相模鉄道の駅を知っている人が少ない。横浜駅や海老名駅は相鉄と言うよりはどちらかというとJRや小田急線の駅だ。本を書いておいてこんなことをいうのは失礼千万だけれども、知名度が今ひとつなのである。
相鉄の「神奈川県内ではバツグンの知名度を誇る駅」
ただ、そんな中でもひとつだけ、神奈川県内ではバツグンの知名度を誇る駅がある。二俣川駅だ。
二俣川駅は相鉄本線と相鉄いずみ野線が分岐する駅で、相模鉄道にとっては運行上の重要拠点だ。そして神奈川県内で運転免許を取得した人ならば、必ず一度は降りたことがある。駅の近くに、神奈川県警運転免許センターがあるからだ。なので、神奈川県に住んでいる人に「相鉄って知ってる?」と水を向けると、「免許でしょ」とお約束のように返ってくるのである。で、続けて「免許を取ったときに乗ったけど、それだけだなあ」などと言われてしまう。
後段の下りはともかく、少なくとも二俣川駅は運転免許センターの駅として、バツグンの知名度を誇っているのだ(ちなみに、文春オンラインの編集長氏も神奈川県出身。やっぱり二俣川、行ったんですかね……)。
二俣川には何がある?
というわけで、免許センターターミナルとして名高い二俣川駅を改めて訪れてみることにする。相鉄の駅だから横浜駅から相鉄本線に乗って訪れるのもいいが、どうせならJR直通線に乗っていくべきだろう。相模鉄道は2019年11月に悲願とも言うべきJR線直通を実現。今では武蔵小杉を経て渋谷・新宿まで乗り入れている。首都圏の大手私鉄では最後となる、東京都心への乗り入れであった。