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巨大グループ・イオンのお膝元で勝ち続けているローカルスーパー 「不可能」はなぜ実現されたのか

2021/02/25
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 スーパーサンシのネットスーパーは絶好調だ。旗艦店舗の「日永カヨー店」は年商50億円のうち、約20%超の10億円を宅配事業が叩き出す。13店舗中7店舗でネットスーパーを展開しており、売上全体の2割以上を宅配による売上が占める。

 サービスを利用するためには月額477円(税別)の会費が発生するが、現在の会員数は1万8500人。毎年コンスタントに3000人以上の会員が増えており、“イオン包囲網”の四日市市において、世帯数の約6%がスーパーサンシのネットスーパーを利用していることは、イオンにとっても脅威と言える。過去10年間は2桁成長を続けており、コロナ禍の影響もあって2020年の4月と5月のネットスーパーの売上は、前年同月比70%増で推移した。

スマホ向けアプリ画面 ©竹内謙礼

15年前にはすでに黒字化できていたネットスーパー

 もうひとつ驚くことは、利益を出すことが難しいネットスーパー事業において、スーパーサンシは15年前にすでに黒字化に成功している点だ。

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 新型コロナウイルスの感染拡大以降になって注目されることも増えたネットスーパーだが、スーパーサンシは早々に成功し、いまでは営業利益は実店舗よりもネットスーパーのほうが2~3%高い。

「ネットスーパーは事前に受注した商品を取り扱うので、値引きや破棄のロスがリアル店舗と比べて低いんです。スタッフもパートが中心なので経費率は16~17%に抑えられます。接客もレジも不要。設備投資も実店舗よりも少なくて済む。ネットスーパーで黒字化できないのは本気で取り組んでいないだけ。真面目にやればネットスーパーは利益が出る構造になっているんです」(高倉照和常務取締役)

高倉照和常務取締役 ©竹内謙礼

黒字化を生んだ3つのポイント

 スーパーサンシはどのようにネットスーパーを黒字化させたのか。ポイントは3つある。

 ひとつは、月会費制にした点である。税別477円の月額会費をユーザーに負担してもらうことで、「せっかく毎月お金を払っているんだから」とユーザーの買い物に対するモチベーションが高まり、結果、利用頻度が増して客単価が上がったのだ。実際、スーパーサンシのネットスーパーの利用者は店頭よりも客単価が1000円ほど高い。