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「ネット回りのサービスを弊社が請け負うことで、スーパーは物流に集中することができるようになります。もうすでに加盟企業が集まり始めており、年商数千億円規模のスーパーが2021年からJAPAN NetMarketを稼働させる予定です」(高倉照和常務取締役)

 システム構築費を加盟店でシェアすることによって、来たる5G、VR、AIなどのネットの変革スピードに対応していくという。今までネット弱者と揶揄されてきたスーパー業界が、大手IT企業と肩を並べて戦う体制は整いつつある。

 スーパーサンシのネットスーパーの仕組みを、全国のローカルスーパーが導入することになれば、全国のイオンは脅威と感じるに違いない。スーパーサンシがお膝元だけの“目の上のたんこぶ”ですむ話ではなくなってくる。

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©iStock.com

全国の同業者・IT企業に戦いを挑むローカル企業

 イオンもネットスーパー事業に対して手をこまねいているわけではない。2019年にイギリスのネットスーパー専業の最大手オカドと業務提携し、2030年にはネットスーパーの売上高を6000億円に拡大する目標を掲げている。

 イオン以外の企業もネットスーパー事業に力を入れる。Amazonはスーパーのライフと共同でネットスーパーを展開。楽天と組む西友も「楽天西友ネットスーパー」を立ち上げて売上拡大を狙う。コロナ禍を機にネットスーパーの重要性に気付いた企業が、続々と参入してくるのは必至だ。

 スーパーサンシは三重県四日市市から飛び出したことによって、全国のネットスーパーやIT企業と戦うことになる。しかし、イオンの密集地で鍛えあげられた挑戦者としてのスピリッツがあれば、ローカルスーパーの逆転劇を見せてくれるかもしれない。そういう小が大を食うシーンを見てみたいと思うのは、きっと判官贔屓が好きな私だけではないはずだ。