恵比寿駅から徒歩2分。串焼きや鉄板焼き、京風おでんにビストロ、さらにはスナックやガールズバーなど20の店舗が軒を連ね、夜な夜な大勢の人たちで賑わいを見せている場所がある。それが今や都内屈指の出会いスポットとしても人気の恵比寿横丁だ。

 相席になることも多い狭い店内や、すれ違うのがやっとの通路で、知らない男女が声をかけ合い、酒を酌み交わす。ピークの時間帯ともなれば、横丁内に入れない男性たちが出入り口付近で女性グループの出待ちをしているほど。純粋に飲食を楽しみに来ている人と出会いを求める人たちが渾然一体となった横丁内は、とにかく熱気がすごいのだ。

ズラリと並んだ提灯と店名が書かれたカラフルな看板が目印

都内屈指の“出会いスポット”、その仕掛け人とは?

 かつてこの場所は公設市場として栄えていたが、時代とともに廃れていき、恵比寿横丁がオープンする前は、空き店舗が並ぶシャッター街同然の状態だった。しかも地権者が複数存在するため、再開発をしたくても個別に交渉を重ねる手間と面倒をおそれて、誰も手をつけられない状況が続いていたという。

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「だからこそライバルが存在しない。逆にチャンスだと思いました」

 そう話すのは、この場所をプロデュースし、恵比寿横丁として大復活させた浜倉的商店製作所代表の浜倉好宣さんだ。

浜倉的商店製作所代表の浜倉好宣さん

 実際に恵比寿横丁はどれだけの成功を収めているのか? 浜倉さんに現在の店の売上を伺った。

「1店舗分となる1区画の広さにはバラつきがありますが、およそ3坪から6坪ほど。最初にガスや水道など飲食店に必要なインフラを整備したこともあり、家賃は周囲の相場よりも高いとは思います。でも、オープンから年々利用者が増え、今や1か月の平均坪売上は150万円から200万円にもなります。飲食店の常識からは到底考えられない数字を計上していますね」

 ちなみによく言われる繁盛店の目安が、坪売上30万円。恵比寿横丁の各店舗は、少なく見積もってもその5倍! なぜここまで売り上げを伸ばすことができるのか?

人気店のひとつ、「加藤商店 肉寿司」。平日の18時前にもかかわらず、ほぼ満席に