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【大繁盛の理由その3】区画、床、天井はそのまま残し、本物の昭和感を演出

 全店舗の内外装も浜倉さんが監修。昔ながらの横丁の雰囲気を出すために、暖簾の並び具合、看板のデザインや出っ張り具合などを計算しながら作っていった。

「施設全体を通して区画と床と天井には手を加えず、そのまま残すことで、元からあった本物の昭和の雰囲気を醸し出しています」

【大繁盛の理由その4】どこにでもあるメニューこそ、おいしさにこだわる

 同じく浜倉さんが監修する全店舗のメニューにも繁盛の秘密が隠されている。

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「あまり聞きなれないものや、今っぽい凝りすぎたメニューは避けて、例えば、フライドポテトや唐揚げなどオーソドックスな定番メニューをちゃんとおいしく提供するように心がけました。食べ飽きない、飲み飽きないメニューを揃えれば、毎日来てもらえますから」

 一方でホイス ハイボールのような昔ながらのメニューを取り入れることで、ご年配の方が“おっ、ホイスがある!”と懐かしがったり、若い人が“ホイスってなんですか?”とご年配の方に聞いたりして、世代を超えたコミュニケーションが自然と生まれる仕掛けになっている。

【大繁盛の理由その5】客にとって迷惑でしかない仕掛けが、出会いを演出

 席やテーブルの配置をできるだけ近づけてギューギュー感を演出しているのも、コミュニケーションを促すきっかけ作りのひとつ。

「お客さん同士が“すみません、奥に通してもらっていいですか?”とか“すみません、メニュー取ってもらっていいですか?”と、あえて声をかけなきゃいけないような状況を作り出しています。それが出会いや、そこから生まれるコミュニティの取っ掛かりになるんですよね。お客さんにとっては迷惑でしかないのが逆にいいんです」

 また客席を横丁内の通路ギリギリまではみ出す形で設置し、臨場感や施設全体の一体感を生み出している。若い世代のちんどん屋や流しの歌手が登場するのもお客さんを巻き込む演出のひとつだ。

「学生の頃は教室よりも廊下でいろいろな友達ができた。それと同じように社会人になっても多くの人が気軽に知り合えるような、大人の廊下という老若男女問わず世代を超えた“溜まり場”を作りたかったんです」

まさにギューギュー状態の横丁内