「今さら昔の話を持ち出すなんて」という声もあったが...
書き込みから5日後、所属チームはイ姉妹の試合出場を「無期停止」とし、韓国バレーボール協会は国家代表権を無期に剥奪することを発表したが、これもさらに騒ぎに油を注ぐことに。この「無期」が問題だったと前出記者は言う。
「無期というのは文字どおり無期で、いつでも復帰できるという意味でもあります。前例があるだけにタイミングを見てそのうちにまたすぐに登場するだろうとみられて、またか、と世論が憤ったんです」
前例というのは、11年前。男子バレーボールの国家代表チームの当時のコーチが選手を殴打した事件で、当事者の選手の記者会見により明るみに出た。コーチは無期の資格停止処分となったが、懲戒から2年後には現場に復帰。現在はプロバレーボールチームの監督を務めている。
今回の事件から再び注目が集まると、今シーズンは出場しないことを表明したが、「手で殴れないので帽子で選手を殴打するなど素行は変わっていないとも囁かれている」(前出記者)という。
イ姉妹への告発が書き込まれた当初は、ネットでは「10年前のまだ幼い頃の行動だから、これからがんばってもらえばいいのに今さら昔の話を持ち出すなんて」や「どうして今頃になって過去の虐めについて暴露するのか」という声も見られた。
プロ失格の行為があった
被害者が過去のイ姉妹の校内暴力を明らかにしようと思ったのは、イ・ダヨン選手がSNSに書いた「苦しめる人は面白いかもしれないけど、苦しめられる人は死にたい……」(イ・ダヨン選手のツイッターより)という投稿だったという。
投稿の発端は同じチームの先輩選手との不仲だ。イ姉妹が所属していた「仁川興国生命ピンクスパイダーズ」には昨年、世界でも屈指のトップスターといわれるキム・ヨンギョン選手がトルコから帰国し合流していた。コロナの影響と東京オリンピック出場のための帰国といわれており、キム選手とイ姉妹のいる同チームは当初「興国アベンジャーズ」と持て囃された。
しかし、両雄並び立たず。昨年末、イ・ダヨン選手がSNSにキム選手と思われる先輩選手への不満を書き連ね、チーム内の不和説が浮上。ファンの間では騒ぎになっていた。前出記者の話。
「メンバーどうしの不和はどこにでもあります。SNS上にそんな個人的な感情を書いたことも問題でしたが、そこで留まっていれば問題はなかった。それが、今年に入って、試合でセッターのイ・ダヨン選手がアタッカーのキム選手に意図的にボールを回していないことが取り沙汰されました。
これはプロ失格の行為。不和説をキム選手はクールに認めて、自分たちはプロなので話し合う、試合へ影響はないとしたのと対照的だといわれて、非難の矛先はイ・ダヨン選手に向けられました」