愛国ブームの風は吹いている
日本国内の非公式ファンサイト『SNH48分室 Unofficial』によれば、SNH48は昨年10月の国慶節にも、『我和我的祖国(私と私の祖国)』という1985年の愛国歌のカバー版のMVを発表している。時系列から見れば、同年6月の日本との手切れ後、さっそく愛国ブームに乗る準備をはじめたのだろう。
余談ながら、姉妹グループのGNZ48が国慶節ライブで同曲を歌ったところ音程が壊滅的に崩壊していたため、ファン以外のネット民から「祖国をナメるな」とフルボッコに遭うという事件も起こった。
https://youtu.be/WuZmueUxWkU
※昨年10月にGNZ48が歌った『我和我的祖国』。動画の0:33あたりから阿鼻叫喚の宴がはじまる。ちなみに日本のネット用語で言う「放送事故レベル」は中国語では「車禍(交通事故)」と呼ぶ。
とはいえ、たとえ「炎上」しても愛国主義の波に乗るマーケティングは効果があったらしく、SNH48は今年の国慶節でも愛国歌の『歌唱祖国(祖国を歌い上げる)』をカバーしたMVをリリースした。昨年の曲は愛国歌のなかでは比較的マイナーだったが、1950年の第1回国慶節に発表された『歌唱祖国』は、中国において準国歌として見なされる超重要曲だ。
MVの内容も、昨年の『我和我的祖国』のSNH48メンバーは白と黒のドレス姿で、特に歌詞を示されなければ愛国歌であることすら読み取れない構成だった。だが、今年の『歌唱祖国』ではメンバーが中国国家のイメージカラーである赤いドレスを着用。さらに共産主義青年団(共青団)の下部組織・少年先鋒隊の赤いスカーフ(紅領巾)を着用した少年少女が始終登場するなど、明らかに政治的にオフィシャルな匂いを漂わせるようになっている。
SNH48の「愛国化」はこの1年で大きく前進したようだ。
https://youtu.be/Z0PP9fcQ1Ys
※2017年SNH48版『歌唱祖国』。そもそも『歌唱祖国』を歌うことが許可された時点で、政治的に少なからぬプッシュがあったと判断していい。