演技の仕事を始めるまでは映画にも興味がなかったが、事務所スタッフの助言で洋画から邦画まで観て演技の勉強をするようになっていった。ブレイク前のレオナルド・ディカプリオが主演した『ボーイズ・ライフ』を特に気に入って、仕事場にも原作の本を持ち込んで読んでいたこともある。
『大洗にも星はふるなり』などの作品がある福田雄一監督のことも好きで、早くから『福田監督の作品に出たい』と語っていた。そして2017年に福田監督の『銀魂』に出演したことがブレイクのきっかけになった。容姿だけでなく、コミカルからシリアスまで演技の幅がある役者として評価されるようになってきたのもその頃から。とんとん拍子と言うよりは、あれだけルックスがいい割に売れるのに時間がかかったタイプ、と言える」(芸能事務所関係者)
三浦との間に壁を作っていた吉沢
2017年以降の吉沢は、スターダムを一気に駆け上がっていった。2018年の映画「キングダム」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞し、2019年には朝のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すず演じるヒロインの幼馴染・山田天陽を演じて国民的な認知度を得た。長い下積み時代から大ブレイク後まで、吉沢の傍にはいつも三浦の存在があった。所属事務所アミューズの関係者はこう語る。
「燻っていた吉沢と三浦が、同じ“俳優班”になったのは2012年頃のこと。すでに三浦は『恋空』や『君に届け』で売れっ子になっていて、ミュージカル舞台でも大成功して若手の中では別格の存在だった。2人の最初の接点は、アミューズの若手が歌って踊るファン感謝祭『ハンサム』。当時の吉沢は今以上に人見知りで積極的にコミュニケーションを取るタイプではなかったが、三浦は面倒見がいいので吉沢のことも気にかけていた。それでも吉沢の方は、4つ年上の三浦との間に壁を作っていた」
それでも三浦は吉沢に目をかけるようになり、知り合いのスタッフや演出家に自分のこと以上に吉沢を猛プッシュして回っていたという。
「三浦はドラマや映画でどんなに忙しくても知り合いの演出家や仲のいい役者が出演する舞台を観るために劇場へ足を運ぶ人でした。観劇後に楽屋へ挨拶に行って『春馬くん、また今度一緒に仕事したいね』という話になると、三浦は決まって『うちの事務所にいい芝居をする後輩の役者がいるんですよ。吉沢亮っていうんです。是非、よろしくお願いします』と答えていました。『4つも下なんですけど、いい演技をするんですよ』と演技力をベタ褒めしていたのが印象に残っています」(前出・事務所関係者)