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郊外は、偉いんです(笑)

柳瀬 そのお話、聞いたことがあります。町田駅前の地元の久美堂書店さんの並びに当初はあったとか。シルクロードのまさに街道沿いです。それでいうと、少し駅から離れますが、料理やお菓子作りの材料をなんでも売っている富澤商店、今ではお洒落ニコタマの高島屋にも入っていますが、元は1919年に町田で創業しています。 

 乾物や香辛料から、お菓子用品まで充実していて人気でしたが、今では全国展開していますよね。

柳瀬 町田発の企業は意外に多いんです。町田は、郊外は、偉いんです(笑)。それに、コロナ禍の今となって加速していますが、子育て世代が町田や八王子などにどんどん移り住んでいるそうです。

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 住むには本当にいいところなんですよ。町田だけではなく16号線の町それぞれに、「俺の町はこういうところなんだ」って、人に伝えたくなるものが必ずあるんでしょうね。

柳瀬 単体で町田が存在するのではなく、この道を武士団が馬で闊歩していた頼朝の時代から、絹が馬で運ばれて富国強兵を支えて、自由民権運動の近代思想とともに、乾物も流通していく。そんな道の経済や流れの中にあったんですよね。

 郊外を「無個性だ」なんて舐めてはいけませんね。道を起点に、歴史や人と文化の交流や町同士の結びつきを考えてみるのって楽しいんだなと、『国道16号線』を読んで気づきました。

©新潮社

(この対談は1月22日に下北沢・本屋B&Bにて行われた)

国道16号線: 「日本」を創った道

柳瀬 博一

新潮社

2020年11月17日 発売