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2021/03/04

source : 文春新書

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 読書

 吉本興業、ホリプロ、サンミュージック、人力舎、松竹芸能など芸能番組部が把握しているタレント事務所すべてに連絡をとり、企画の中身を説明し、「事務所としてはどうでしょう」と問いかけた。抱えているタレントが公開の場で不合格の烙印を押されるかもしれない、と二の足を踏むのではと想像していたが、タレント事務所は、「いいですよ」「やらせてください」と好意的だった。こうして『オンエアバトル』は始まったのである。

“NHKらしい”番組、“らしくない”番組

 番組開始後、構成や審査方法などにいろいろ修正を加えていった。

 たとえば、素人審査員には白いボールだけを持たせていたのだが、あるグループが出場した時に2個入れた審査員がいた。ワンパフォーマンスに対して1個入れるのがルールで、2個入れるのは違反行為。そこで審査員が持っているすべてのボールを10色にして(最初の出場者は赤、次の出場者は青というように)、異なる色が入った場合は取り除くことにした。

 審査員募集に当たっては、年齢や誰のファンかを書いてもらい、熱心に応援している漫才師が出場する時は、審査からはずすようにした。審査員の年齢は10代から50代までと幅広く、男女半々にするよう努めているが、圧倒的に10~20歳代の女性が多い。

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 出場者には収録前に、「今日の審査員は10代の男性が何人、女性何人、20代の女性何人…」と知らせるようにした。コントは事前に作り込んでいるので難しいが、漫才を演じる場合は、審査員の年齢構成や男女比に合わせてネタを変える出演者もいる。

 対戦相手は収録当日まで伏せている。対戦相手を知って「今日はヤバイな」「なんとかいけるかも」などと楽屋で話している声が聞こえてきたりするとか。並木は、「意地悪でそうしているのではなく、そのほうが面白いし、本当の実力が測れるじゃないですか」と強調した。

番組が成長した要因

 並木は「なんとか3年は続けたい」と思っていたが、それが視聴者の圧倒的支持を受けNHKの人気番組の一つになり、民放局の中には『オンエアバトル』を真似するところも現われた。番組からはハリガネロック、ますだおかだ、ホーム・チーム、アンタッチャブルなどが育った。並木は番組自身がここまで成長した要因は3つあるという。

 まず、真剣な演者の存在。本番前、壁に向かって練習しているグループがいれば、舞台の袖でボケ方・ツッコミ方を確認しているコンビもいる。番組に出演するグループの7~8割は、アルバイトしながらお笑い芸人としてブレイクすることを夢見て日々精進している。

 熱心なコアファンを持っていて自信満々で舞台に上がったものの、スコーンと落とされる。

 30歳を過ぎても本人たちはまだまだヤル気でいるが、何度挑んでも見通しがつかない。そこで事務所側が別の職業への転身を勧める。並木はそんな見るに忍びない場面に出会うこともある。