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2021/03/04

source : 文春新書

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 読書

たけしの番組を蘇生させたハマコーとの出会い

 新しい番組を産み、育てた並木に対し、長く高視聴率を稼いで成熟し、あとはいつ、どのように終了させるかという段階にあった番組を甦らせたプロデューサーがいる。テレビ朝日系『たけしのTVタックル』(当時毎週月曜日21時放送、現在は毎週日曜日12時放送)の滝川均だ。番組制作会社オフィス・トゥー・ワン(OTO)に所属する滝川は番組の演出も手がける。

 1963年東京・板橋区に生まれた滝川は、85年東洋大学社会学部を卒業後OTOに入社した。フジテレビ系『なるほど!ザ・ワールド』のADを振り出しに、同番組でディレクターデビュー。朝日放送『地球キャッチ・ミー』『世にも不思議な日本料理』、テレビ朝日『がん戦争 PART10・生きること……10年目の闘い』、日本テレビ系『久米宏の道徳の時間』などを演出した後、99年から『TVタックル』を担当するようになった。

 過激なトークを売り物にする『TVタックル』は、89年に始まっている。バラエティ番組はいったん安定軌道に乗ると、少なくとも7年から10年は続くといわれるが、必ずしも同じコンセプトや内容で続くわけではない。コーナーの見直しは言うに及ばず、キャスティングの変更を含め大胆なリニューアルをすることもある。

 滝川が『TVタックル』に参加した時は、番組スタートから10年以上経っていた。視聴率は下降気味で、キムタクこと木村拓哉主演のフジテレビ系月9ドラマ、『HERO』が編成された時は、1ケタに落ち込んだ。

 たけし独特の毒舌をかます本音の情報バラエティ番組で、どんなネタを俎上にのせたらいいのか。滝川はアレコレ考えた挙句、「政界に蠢く人間模様」を取り上げてみた。森喜朗政権の時で、結果は惨々だった。ところが、間もなく“変人”小泉純一郎が田中真紀子とタッグを組んで政権の座に就いた。「自民党をブッ壊す」がキャッチフレーズだった。

政治家のわかりやすいキャラクターが起爆剤に

 小泉人気にあやかって再び政治・政界をテーマにしたところ、関東地区で18.8%(ビデオリサーチ調べ)の数字が出た。番組復活のベースには田中真紀子、辻元清美、鈴木宗男、塩爺こと塩川正十郎など政治家のわかりやすいキャラクターがあったが、滝川はハマコー(浜田幸一元衆議院議員)が突破口を開いたとこう語る。

浜田幸一氏 ©文藝春秋

「ハマコーさんとは『道徳の時間』で初めて出会ったのですが、彼は見事に番組をブチ壊してくれるんです。想像もできない壊し方をするハマコーさんで『TVタックル』に活を入れてもらおうと考えたのです」

 日テレ系の『道徳の時間』は『ニュースステーション』開始以来、久米宏が初めて他局に持ったレギュラー番組だった。少年非行や親子の問題などのテーマに沿った道徳の教科書をもとに、「あなたならどうする?」と解答者に問う番組である。