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 糖質制限に関しては、「やせることができ、健康によい」という意見と、「やせる一方で、健康被害が出ている」という意見があります。実際のところはどうなのか見ていこうと思います。

 糖質制限をすると、減量効果があることは数々の研究でわかっていますが、「減量効果」がはたして「健康」と直結するのかどうかが重要です。「やせる」というのは、あくまで「健康になる」ことの通過点にすぎないので、最終目標がどうなのかを検討することが必要だからです。

医学的に「健康になる」ってどういうこと?

 まず考えなければならないのは、「健康になる」という目標が、どんなことであるのか、ということです。普段生活している中で、わたしたちは、漠然と「やせる」「運動する」「野菜を食べる」と考えますが、医学的には、「死亡率を減らす」「心筋梗塞などの深刻な病気を減らす」ことが取りあえずのゴールになります。

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「健康」というと、メンタル面や生きがいなど、実際にはもっと多くの要素があるのですが、糖質制限などの食事法・健康法について検討する場合には、その「良い」「悪い」は、死亡率や深刻な病気のリスクという観点から検証しているということを踏まえて、以降の文章を読み進めてください。

糖質制限が心筋梗塞・脳梗塞を防ぐ可能性

 世の中には、「糖質制限」をはじめとして、「脂肪制限」「カロリー制限」など、さまざまな食事法があります。

 これまでの研究では、糖質制限は、脂肪制限と同じような減量効果があることがわかっています。また、心筋梗塞や脳梗塞などを起こりやすくする因子(これをリスク因子と言います)を改善する可能性も指摘されています。

炭水化物の「質」のほうが重要?

 炭水化物は、量ではなく、質が大事なのだ、という研究も多くあります。具体的には、白いパンよりも、全粒粉を使ったほうがいいという結果です。

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 イギリスの医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」に掲載された論文によると、「全粒粉は、心筋梗塞やがんによる死亡リスクを下げる」という結果が示されています。

 欧米およびアジアの複数の研究を統合したメタアナリシスで、白米は糖尿病のリスクを上げるという結果も出ており、日本においても、白米を多く摂る女性は糖尿病のリスクを上げるという研究があります。

 しかし、日本人において、白米と玄米を比較した質の高いエビデンスがあるわけではありません。