東京・赤坂見附の一角で、昼間に開店する「昼スナックひきだし」。ここには会社員から社長、子連れの主婦までありとあらゆる人が集まってくる。客のお目当てはカウンターの中に立つ“紫乃ママ”だ。
紫乃ママは慶應大学卒業後にリクルートに入社。7年間勤めた後に体を壊して退職した。その後40代まで転職を繰り返し、プライベートでは3回の結婚をするなど、波乱万丈の人生を送ってきた。現在は豊富な経験を生かして、中高年のキャリアコンサルティング会社を経営するかたわら、昼スナママとして様々な悩み相談に乗っている。
そんな昼スナックで繰り広げられる人生相談が『昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(日経BP)で書籍化。悩める中高年への紫乃ママの愛あるアドバイスの数々から、一部を抜粋して転載する。
今日、昼スナを訪れたのは……?(全2回の1回目)
※個人が特定されないよう、事実関係を一部変更している部分があります。あらかじめご了承ください
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来店客 自分の存在価値が見いだせない一般職47歳
西内由香さん(仮名、47歳、既婚)
大学卒業時は就職氷河期で小さな商社に就職。27歳で結婚退職後は派遣社員として働き、32歳で離婚して実家に。親からの縁談攻撃に耐え切れず1人暮らしを始めるも、リーマン・ショックで派遣切りに遭う。アルバイトをしていた37歳の時、10歳年下の夫と出会って結婚。派遣社員として入社した大手金融で、奇跡的に正社員に登用されて勤続10年目。事務職でスポットが当たることもなく、1000 万円かけた妊活にも失敗。キャリアも子どももない人生にむなしさを感じます。
紫乃ママ いらっしゃい。何、飲みます?
由香 最近すっかり弱くて……。ジンジャーエールをお願いします。今日は紫乃ママさんに相談したいことがあって。
紫乃ママ 紫乃ママ「さん」はやめてください(笑)。どうしたんですか?
由香 一般事務職のアラフィフって、この先、どうやってキャリアを積めばいいんでしょうか?