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毒親、派遣切り、1000万円の妊活失敗……アラフィフ一般職女性の「キャリア」とは《昼スナックママのお悩み相談》

毒親、派遣切り、1000万円の妊活失敗……アラフィフ一般職女性の「キャリア」とは《昼スナックママのお悩み相談》

紫乃ママのお悩み相談#1

2021/03/14
note

仕事のプレッシャー&子育てストレスなしを好機と考える

紫乃ママ 仕事は一般職、妊活に失敗で人生にむなしさを感じるって言うけど、逆から見たら、自由になる時間はたくさんある。その時間を使って、これからなんでもできますよ。それってすごいアドバンテージだし、時間って一番の財産よ。同世代の多くの人は、仕事の責任が重くなるプレッシャーや子育てに振り回されてストレスが強い時期。きちんとした仕事もあって、家庭もあって、でもそこから解放されているなんて。新しいことを始めるめっちゃいい機会ですよ。

 私はよく「3つの場」を意識してってお伝えするの。1すぐにお金になる場、2興味があることをやる場、3自分がやり続けたいことをやる場。由香さんは1つ目の「すぐにお金になる場」は大手企業で確保されているから残り2つよね。

人生のバランスをとるために必要な「3つの場」(「昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気」より)

由香 私の場合、趣味はスポーツ観戦。3つ目の「一生お金にならなくても自分がやり続けたいことをやる場」はあるから、今はお金にならないけどいつかお金になるかもしれない「興味があることをやる場」が必要ですね……。

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経験は財産。「自分の経験をネタ化」する

紫乃ママ ぶっちゃけ、それだけいろいろな経験を積んでいるなんて羨ましい。10歳年下が転がり込んでくる人生なんて最高。私の夫は5歳下だけど、私が転がり込んだほうだか(笑)。人に語れるネタ満載じゃない。

 私自身の、最近のキャッチフレーズは「どこに出しても恥ずかしい人生」なの。私と一緒に自分の経験を語っていきましょうよ。私たち世代の存在意義ってそういうところにもあると思う。今どきの若い子たちって「正しく生きなきゃいけない」と思ってがんじがらめになっているでしょ。上の世代が、いわゆる社会の「べき論」的な枠から離れて自由に「恥ずかしい」人生を楽しんでいることで、後輩世代の彼女らが「あ、そういうのもありなんだ」って楽になれる。

由香 そういえば会社の飲み会で、後輩たちに夫との出会いを話したら「希望が持てます!」って喜ばれました。

紫乃ママ ©洞澤佐智子

 

紫乃ママ その幸せをもっとかみしめるべき。私も45歳で入った大学院で20代の同級生に「紫乃さんを見ていたら、こんなにテキトーでも40代は楽しくやれるんだと思いました」と明るく言われたよ。

 仕事だって「飛び級」で正社員になれたんだからものすごくラッキー。チャンスは突然やって来るものだから焦らないで、それを受け止められるよう土壌だけつくっておけばいい。

由香 そうですね。母から「早く孫の顔見せろ」と攻撃も受けたし、妊活がうまくいかなくてつらいとしか思えなかったけど、今から子どもがいて子育てをするのは大変だったかも。

紫乃ママ 妊活って、やめるタイミングが難しくて悩んでいる人も多いですよ。由香さんがそういう人たちに伝えられることもある。つらいこともいっぱい経験しているんだから、それはきっと財産なんです。

 単調で単線の人生は変化に弱い。若い時のあらゆる経験は由香さんの今を創る糧になっているはず。だからこそそれを昇華させて、自分の経験をネタ化するのは大事。物事には常にいくつもの側面がある。「私にはキャリアがない、子どもがいない」と、自分が持てるかもしれなかったものばかりを考えて後悔するより、手に入れたものに着目したほうがいい。

由香 そういえば「自分にないもの」を探してしまうクセがあるかも。