まるで小学生同士の喧嘩
それから1年近く経って、そんな相談を受けたことすら忘れていたころに、その会社を訪問する機会があった。事務所で社長と雑談していると、女性社員2名が激しく言い争いを始めた。どうやら何かの書類をプリントアウトしてほしいと1人が言って、相手が「今忙しいから少し待って」と言ったことに、腹を立てたようだ。言い方がきついだの、あんたはいつも自分の都合で仕事を進めるだのと、お互いに相手のことを罵りだした。言い争いはヒートアップし、事務所の外にまで聞こえるような大声で怒鳴り合っている。まるで小学生同士の喧嘩のような様子に、社長は、(ほらね)といった顔で私を見た。
聞けば、いつもあのような調子で、些細なことに腹を立て、怒鳴ったりわめいたりしているという。時には、書類を投げ合ったり、飲んでいたお茶を相手にかけたりという事もあったらしい。他の従業員もいつもの事とはいえ、2人の喧嘩が始まると、小さくなって関わらないようにしている様子だった。いい年をした大人が、なぜそんな些細なことで感情を爆発させるのか理解に苦しむ。くだらないことにいちいち腹を立てる人は、おそらく心のキャパシティが小さいのだ。怒りの沸点が低い上に、自分の中でうまく処理ができず、怒りの感情をコントロールできない。こういう人がいると、周囲は常に緊張を強いられる。問題の会社でも、他の従業員がなかなか定着していないようだった。また、心に余裕が無いと、感情的になる事もある。それまでは特に問題が無かったのに、急に感情を爆発させたり、周囲に当たり散らすようなことが多くなった場合は、何らかのストレスを抱えていたり、メンタル不全に陥っていることもある。
どうして人のせいにするのか?
モンスター社員は、自分の言動を反省したり、自分の言動に責任を持つという意識が希薄だ。何か不都合があると、他人や環境のせいにする。
「あいつがこんな風に言うから」
「会社がもっとこうしてくれないからこうなった」
など、常に何かのせいにする。こういう人は、依存的で、自分自身と向き合おうとしない。依存的な人間が、相手が自分の思うとおりに動かないと、恨みに変わることがある。