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“事態の原因をつくったのも、ゲートを設けたのも人間” 「3.11」への想いを新たにするためのアート展

アート・ジャーナル

2021/03/06

 10年前、東日本大震災のときのこと。茨城県水戸市内にある水戸芸術館は、建物損傷などの被害を受けた。震災後しばらくは避難所として活用されたこともあり、本来の活動へ戻るにはしばらくの期間が必要だった。

 

 相応の月日が流れたいま。あの出来事とその後の体験を改めてどう受け止め、いかに語り継ぐかが課題として浮上している。その点でアートにできることは多いはず。そう考えた同館では現在、現代美術ギャラリーにて「3.11とアーティスト:10年目の想像」を開催中だ。

すべては人間がしたことである

 展覧会はグループ展のかたちをとる。各室ごとにさまざまなアーティストが、震災に応答した作品を掲げている。

 絵画表現を手がける加茂昂は、原発事故後の福島に現れた立入禁止区域の境界線に着目。原発建屋などの「現場」にアクセスすることはいまだ難しく、日常的に事故の影響が視覚的に感じられるのは、立入禁止区域を区切るフェンスや出入りのゲート、立て看板くらいしかない。

加茂昂展示より

 そこで加茂は、それら「区切るモノ」を描き込んだ絵画を制作するようになった。ただし画面の大半は、青々と茂る草木など自然の事物が占める。それが実際の光景なのだから、絵もそうなる。