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「きっかけはExcelのマクロが使えたから」「高校時代は家庭科部」…“文化系”の彼らはなぜ東大アメフト部で日本一を目指すのか?

2021/03/10
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「Excelファイルのマクロを使えるスタッフ」津村さんの場合

 一方で津村さんは、兵庫の甲陽学院出身。中学、高校時代はサッカー部に所属し、大学受験では理科Ⅰ類に合格。

「サッカーはもう十分かな、と思っていたので、スポーツはサークルで汗を流す程度、と思っていました。コンピュータ系のサークルにも興味があってのぞいてみたのですが、どうもピンと来なくて。そしたら、高校時代からの友人が『タッチフットに行ってみようぜ』と誘ってきて、それがアメフト部の勧誘だったんです。選手の選択肢もあったんですが、地道にトレーニングなんて自分には続けられないし、首とか太く出来ないだろうなと思っていたら、『Excelファイルのマクロを使えるスタッフが引退して、困ってるんだ』という声があったんです。つまり、システム関係の学生を探していたんですよ」

津村さん(東大アメフト部ツイッターより)

 マクロ機能とは一例をあげると、ワークシート上にあるデータを使ってグラフを作成し、それを印刷するといった一連の作業が、ボタンをクリックするだけで自動実行が可能になるものだ。活用できる人材がいれば、数時間かかる作業が、一瞬で終わらせることが可能なのだ。

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「積極的に入部しようという気持ちはなかったですね(笑)。なし崩し的に仕事をするようになり、1年生の秋のシーズンが終わるまではSAをやりながら、プログラミングもやっていた感じです。でも、両方を続けていくのは無理だと思い、シーズンが終わった時に、SEとして独立しました」

東大アメリカンフットボール部の実力は?

 東大合格時には体育会に入ることなど想像すらしていなかったふたりは、こうして2018年春に東京大学アメリカンフットボール部に入部した。

 ところで、東京大学のアメリカンフットボール部はどれほどの実力を誇っているのか?

東大アメフト部ツイッターより

 ふたりが入学した2018年には2部リーグに相当するBIG8で優勝し、2019年から1部リーグであるTOP8に昇格した。昇格1年目の2019年は6位、そしてコロナ禍で短縮された2020年の結果は次のようになった。

リーグ戦 Aブロック

 中央大学  〇 10対7

 法政大学  ● 0対34

 日本大学  ● 6対30

 

5位・6位 順位決定戦 

 早稲田大学 ● 7対40

 2年連続でリーグ6位という結果になったわけだが、TOP8で優勝すれば、大学王座決定戦である「甲子園ボウル」に駒を進めることができる。4月から4年生を迎える津村さん、岡部さんともに「目標は日本一」と声を揃える。