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「きっかけはExcelのマクロが使えたから」「高校時代は家庭科部」…“文化系”の彼らはなぜ東大アメフト部で日本一を目指すのか?

2021/03/10
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選手のコンディション管理に活用できるシステムを管理

 では、ふたりは具体的にはどんな仕事をしているのだろうか。

 SEとしてチームを支えている津村さんは、データ整理のためのソフトやアプリの開発などを行っている。

「チーム全体で使っているSlackを、Googleフォームと連係させて運用できるようにしました」

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 さらっと説明してくれたが、津村さんが構築した仕組みは、選手のコンディション管理に活用されている。

 選手たちは日々のコンディションをGoogleのスプレッドシートに記入するが、そのデータは危険度別/パート別に整理され、Slackへ自動的に転送される。その仕組みを津村さんが作った。

PCに向かい作業をする津村さん

 コロナ禍ではチームの全体練習が長期にわたって中断となり、選手のコンディショニング管理が難しかったが、この仕組みの改善によって、選手たちは記入が簡便になって継続しやすくなり、コーチとスタッフは、100人を超える部員の状態把握が容易に出来るようになった。

 また、アメフトといえば、アメリカではVR(バーチャル・リアリティ)などテクノロジーを使った練習方法が導入されているが、津村さんもソフトの改良を独自で行っている。

「SAがミーティングで、選手たちの動きを図に示して説明するんですが、アメリカで20年前に開発されたソフトがあり、2011年を最後にアップデートが止まっていまして…。そのソフトを、新しいPCでも使えるように改良を加えたりしているんです。ビジュアルで選手たちに正解を見せるための仕事ですね」

チーム強化に必要な『人材、資金、モノ』のため、企業と連携

 津村さんはシステムの面で活動を支えているが、岡部さんは、企業など外部と連携を図るなど、営業的な仕事が多い。

「チームの強化には、『人材、資金、モノ』の三本柱が欠かせません。東京大学にはスポーツ推薦の枠がありませんし、高校時代までは文化部だったのに、選手としてスタートする初心者もいるんです。それでも、日本一を目指すには活動環境を整え、合理的な練習が出来る環境を作ることが重要になります。マーケティングスタッフは、外部の企業の方々と連係して基盤を作る仕事です」

 最近の成果としては、応援するチームにギフティングするシステムを構築したEngate社との連係を実現。収入面での道筋を確保した。岡部さんはいう。

「正直、高校時代までの運動部のマネージャー、スタッフのイメージといえば、私の中では雑用係に近いものでした。ウォリアーズでマーケティングは新しいセクションですが、自分がマーケティングスタッフとして成し遂げたことが、この先、何十年とウォリアーズの土台になってくれると考えると、やり甲斐があります」

東大アメフト部ツイッターより

 現在、スタッフにはマネージャー、トレーナー、SA、SE、マーケティング各セクションがあり、スタッフの人数は23名で、女性は11人を数える。

「試合に出るのは選手たちですが、スタッフに関していえば、性別は本当に関係ないですね」