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睡眠薬120錠を服用後、下関駅に突っ込んだ

「何をやっても成功せず、いつも自分だけが貧乏くじを引きみじめな思いをしている。中卒でもできる運送業をどうして一流大学を出た自分ができないのか。ただでは死ねない。社会に対し強烈なダメージを与え、恨みや憎しみを晴らしてやろう」

 日曜日ならば、人通りも多いだろうと考え、犯行の決行日を10月3日の日曜日とした。そこで、9月28日、下関市内のディスカウントショップで包丁を購入、下関駅周辺を下見する。

 ところが、翌29日の朝、一本の電話が入る。これが、犯行への引き金になる。

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 電話は父親からだった。「冠水した車の廃車手続は自分でするように」という内容だった。

「この期に及んで面倒な廃車手続までするなんてたまらない」

 そう腹を立てた彼は、「今日のうちに決行してしまおう」と決意し、同日午後にレンタカーを借り、人通りの多くなる夕方を見計らい、この時、車内で睡眠薬120錠を服用して、下関駅に突っ込んだのだった。

©iStock.com

 余談になるが、さっきから名前のあがっている宅間守についても、精神科との接点があり、学歴へのコンプレックスがあり、そして父親に経済的支援を申し出てむしろ勘当されるという経緯があった。そして、自殺企図を抱きながら、かねてから社会に適応できず、学歴コンプレックスや劣等感から社会や世間に根強い不信感と不平等感を抱いてきた為、攻撃的で責任を転嫁する性格と相まって、その恨みの感情を社会や世間の不特定多数の人間に向け「めちゃくちゃにしてやろう。大量に人を殺害しよう」と決意するに至ったとされる。特に小学校を襲撃することを思い立ったのは、児童であれば体格も小さく、逃げ足も遅い為、多数のものを簡単に殺害できることと、その上で妬ましく思っていたエリート校を襲えることに思いが馳せたとしている。