アフガニスタンにも従軍していたヘンリー王子
ヘンリー王子はイギリス陸軍の兵士だった。ロイヤルファミリーだからお飾りのキャリアだと思うかもしれないが、そんなことはない。攻撃ヘリコプターAH-64アパッチの副操縦士兼射撃手を務め、アフガニスタンにも従軍した経歴を持つバリバリの兵士である。
20週間に及んだアフガニスタンでの任務を通じ、ヘンリー王子は、最前線の兵士の生活や、精神的・肉体的な傷痕について理解することができたという。この体験を通じてヘンリー王子は、精神的、あるいは肉体的に傷を負った元軍人に支援を提供する慈善団体に特に関心を持つようになった。
その後、ヘンリー王子は公務でアメリカのコロラド州を訪れた際に、ウォリアー・ゲームという大会に出席した。2010年にアメリカのオリンピック委員会が、負傷した軍人のための競技会としてスタートしたものだ。この年、イギリスチームが初参加していた。
ひどいケガや後遺症に悩まされているにもかかわらず素晴らしい戦いを繰り広げる選手たちを見て、王子はイギリスで同じ大会を開くべきだと考えた。かつては心身ともに健康だった元兵士たちが、失ったものを取り戻すことができる、そう考えたのだ。
ヘンリー王子は国防大臣を口説き支援を得て、2014年9月にインビクタス・ゲーム第1回大会が開催された。大会では13ヶ国から400人の障害者たちが、陸上競技、アーチェリー、車いすラグビー、車いすバスケットボール、重量挙げ、水泳などに参加した。大会の成功により傷病兵の問題認識を助けただけでなく、王室の問題児であったヘンリー王子への認識をみなが改めるきっかけにもなった。
ヘンリー王子は3回目となるインビクタス・ゲームにメーガン妃を連れてくるだけでなく、彼女の母ドリアさんも招待していた。自らがもっとも大切にしている慈善活動であるインビクタス・ゲームをメーガン妃の住むカナダのトロントで開催し、さらにその場で彼女を披露する。王子が彼女との結婚に本気であることは、もはや疑う余地がなかった。
プロポーズのとき
その2ヶ月後の2017年11月、ヘンリー王子はメーガン妃にプロポーズした。ケンジントン宮殿の庭でマスコミのカメラの前に現れたメーガン妃の指には、婚約指輪が光っていた。
この婚約指輪は、ヘンリー王子が自らデザインしたものだ。ひときわ目立つ大きなダイヤモンドはボツワナ産である。ボツワナは最高品質のダイヤモンドが採れる国として有名であり、取引額ベースでは世界一だ。ダイヤモンド生産世界最大手のデビアスも、かつてロンドンにあった拠点をボツワナに移すなど、今注目の国である。