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指輪にこめられた意味

 しかし、ボツワナ産のダイヤを2人が選んだ理由はそれだけではない。出会ってすぐに2人で行ったあの思い出の場所もボツワナだったのだ。

 大粒のダイヤモンドの両側には2つの小さなダイヤモンドが配されている。これは亡き母ダイアナ元妃の宝石コレクションにあったものだ。

 メーガン妃は指輪について、こう話している。

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「ヘンリー王子を産んでくれたダイアナ元妃と私たちにとって大切なボツワナをつなげてくれています。この指輪はパーフェクトなんです」

 私は大切な婚約指輪にダイアナ元妃の形見が使われているところに、深い意味があると思う。

 メーガン妃とダイアナ元妃はともに両親が離婚し、つらい少女時代を過ごしている。

 メーガン妃は両親の離婚で負った傷を乗り越え、黒人系であることをハンデとせず、女優であるとともに男女平等やアフリカ支援などの活動を続けている。ダイアナ元妃が苦しみながら目指していた理想の女性像に近い。

©iStock.com

 ヘンリー王子がメーガン妃にぞっこんとなったのは、亡き母ダイアナの面影を見たから、だと思う。そしてその表れがこの指輪、と考えることはできないだろうか。

ダイアナ元妃とメーガン妃の違い

 一方で、2人には大きな違いもある。モートン氏はこう語っている。

「ダイアナ元妃は社会的弱者に寄り添うことを目指していたが、メーガン妃はより積極的に、活動家として社会に変化をもたらそうとしている。また、ダイアナ元妃と違ってメーガン妃は女優だったので、カメラにどう映るかを知り尽くしている」

 ダイアナ元妃は19歳で婚約し、結婚したときまだ20歳だった。結婚前も保育園のアシスタントやナニー(子供の世話係)などしかしておらず、十分な社会経験が無いままで王室に入った。チャールズ皇太子との交際が明らかになった直後、イギリスメディアの記者に執拗に追い回される映像が残っているが、当時の彼女はメディア対策など考える由もなかった。

 彼女が世界中の人々を魅了する美しいファッションに身を包むようになったのも結婚後しばらく経ってからのことだ。結婚した当初の彼女はどこか野暮ったく、のちのダイアナ元妃とはずいぶん印象が違うことに気付くと思う。

 つまり王室入りしたとき、ダイアナ元妃はまだまだ未完成な状態だった。その後王室の中で疎外感を感じ、夫の不倫に苦しみ、様々な苦悩を重ねた結果、のちの人々がイメージする「ピープルズ・プリンセス(民衆のプリンセス)」へ成長していったのだ。

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 それに比べるとメーガン妃はある意味完成された状態で王室入りしている。ロイヤルウェディングや様々な公務での彼女の振る舞いを見ていても、自分がどうカメラに映っているのか、知り尽くしているのがよくわかる。

 イギリス王室という大きな力を手に入れた彼女は、「世界を変える」という自らの野望に向け、スタートラインに立ったかのように見えた。

※肩書きや名称は書籍刊行時のままです。

【前編を読む】婚約発表ではベタベタと見つめあい… “プレイボーイ”のヘンリー王子が「年上、バツイチ」のメーガン妃を選んだわけ