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「あからさまな性差別や人種差別」ヘンリー王子が怒りとともに発表した“異例の声明”とは

『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』より #4

2021/03/09

source : 文春新書

genre : ニュース, 国際, 社会, 読書

note

メーガン妃とダイアナ元妃の違い

 展開の早さ、勢いが印象に残る2人の最初の4ヶ月間だが、その後、婚約に向けて関係をオープンにする過程は、非常に緻密に計算されていたと思う。

 なかなか揃って公の場に出なかった2人だが、翌2017年5月、ロンドン郊外にあるアスコットのポロクラブで、2人がキスしている姿が目撃された。公の場でのキスは初めてのこと。もちろんうっかりではなく、撮影されるのを計算してのことだろう。

 さらに同じ月、キャサリン妃の妹であるピッパ・ミドルトンの結婚披露宴に、ヘンリー王子とメーガン妃が揃って出席した。ヘンリー王子との交際説も流れたピッパの結婚式はメディアの関心も高く、ここにも多くのメディア関係者がいた。そこにメーガン妃を連れてきたことには、「結婚も考えている」という強いメッセージを感じる。

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 そして4ヶ月後の2017年9月、メーガン妃がアメリカの雑誌「ヴァニティフェア」のインタビューに応じ、2人の関係について語った。私の手元にその雑誌がある。表紙を飾っているのはメーガン妃だ。タイトルには「彼女はハリー(ヘンリー王子の愛称)に夢中!」とある。

©iStock.com

「私たちは付き合っています。愛し合っているの。いつかみんなの前で説明しなければいけないときが来ることはわかっています。でも、これは私たちだけの時間であることをわかってほしい。私たちは幸せです」

 ヘンリー王子のことを「私のボーイフレンド」と呼び、オノロケ全開のメーガン妃だが、ロイヤルファミリーの交際相手が自ら取材に応じ、赤裸々に恋愛について語るというのは前代未聞だ。

 王室専門家からは「せっかく王子がマスコミに異例の声明を出して取材を沈静化させたのに、これでは逆効果だ。彼女の選択は間違っている」との批判も相次いだ。

 しかし、私はさすがにメーガン妃もそこまで考えなしで取材を受けたのではないと思う。2人の関係をオープンにするための広報戦略の一環だろう。その証拠にわずか2週間後、決定的なシーンが撮影されることになる。

撮影された決定的シーン

 同年9月23日から30日にかけて、カナダのトロントで国際スポーツイベント、インビクタス・ゲームが開催された。この場にヘンリー王子はメーガン妃と手をつないで登場し、世界中にその親密な姿を初めて公開した。

 インビクタス・ゲームは、傷病兵らのための「オリンピック」である。インビクタスとはラテン語で、「征服されない」を意味する。戦場で体に障害を負っていたり、心に傷を負っていたりしていても、屈せずに戦う傷病兵たちを後押しすることを狙ったものだ。

 このイベントを立ち上げたのは、実はヘンリー王子である。

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