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太田房江の府知事選では400社の業者が集結 関西談合組織による“ゼネコン選挙”の怪しい実態

『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』より #14

2021/03/15

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 読書

note

野中、衛藤、鈴木の自民党トリオで出陣式

「山本さんが太田さんを応援するきっかけをつくったのは、自民党の衛藤征士郎先生だと聞いています。山本さんと衛藤先生は同じ大分出身ということから、県人会をつくって、そこでよく会っていたようです。そのつてで、鈴木宗男さんが登場したのだと思います」

©文藝春秋

 野中広務幹事長、衛藤副幹事長、鈴木総務局長のトリオで、自民党の選挙を取り仕切っていたころである。大阪中の建設業者に号令がかかり、大林組本社に担当者が集結した。受付には、あらかじめ各社の出席者リストが用意され、出欠をチェックする念の入れようだったが、実力者の石田は顔パスだったという。

「私はすぐに講堂の脇にある控室に通されました。部屋には、業界でも知られた錦城クラブの役員たちが10人ほど集まっていました。その奥に鈴木先生と衛藤先生がいたので、びっくりしました。山本さんから二人を紹介され、名刺交換したのを覚えています」

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 と石田。こう続ける。

鈴木宗男氏 ©文藝春秋

「それから講堂に移ると、大勢の業務屋の前で壇上に立ったのが、鈴木先生と衛藤先生。司会が山本さんだったと思います。とくに印象に残っているのは、鈴木先生でしたね。あの調子で『今回は非常に厳しい情勢です。だから、ともかく業界のお力を借りたい』と力説していました。言葉や態度は慇懃でしたけど、やはり有無を言わせぬ迫力がありました」

 いわば、大阪中の建設業者に呼びかけた一種の選挙出陣式だ。自民党本部としても、それほど力を入れていた証だろう。

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