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「生かされ感謝しています」

 7月26日、名古屋拘置所では岡崎一明(享年57、宮前に改姓)および横山真人(享年56)の2名が執行された。

 岡崎は、オウム事件で最も早く死刑が確定した。死刑確定直後は「命乞いのようなことはしない」と語っていたが、その後、次々とほかの信者の死刑が確定すると再審請求している。

 執行当日の朝、刑務官が扉を開けると、岡崎の顔面は蒼白になったという。だが、その後は冷静に刑場へ向かったと伝えられた。

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 支援者には麻原の執行後、手紙を送っている。

「まさか、(執行が)7月末でなく七夕の前日とは愕いております」

「それまで生存しているか否か? は、よく分かりませんが、今月末(7/27頃)が危ないので、来週の7/25(水)までには、最期の手紙として、書くつもりでおります」

「毎月の如く月始めか月末が危険日です」

 岡崎の研ぎ澄まされた「予感」は的中してしまったことになる。遺体と対面した支援者は「安らかに眠っているような顔だった」と語っている。

 同じく名古屋拘置所で執行された横山真人は口下手な男だった。地下鉄サリン事件の実行犯ではあったが、横山の車両では死者が出ておらず、直接的な殺人行為はなかったにもかかわらず、死刑が確定した。

©iStock.com

「誰にどう伝えても、理解してもらうことはできない」と固く口を閉ざし、確定後もほとんど表立った活動はしていない。麻原の執行から1週間後、面会した弁護士に「次、いつ執行があってもおかしくないよね」と聞かれたのに対し、笑みを浮かべながら「そうですよね」と応じたという。

「また会えるかな」

 最後にそう弁護士が語ると、横山はこう返した。

「これまでお世話になりました」

 横山の遺体は、1歳上の兄によって引き取られたという。

 仙台拘置支所では、林泰男(享年60、小池に改姓)が執行された。

 麻原の執行2日後の7月8日、林は「もうこの手紙が届くときには生きていないと思います」と弁護士に手紙を送っている。13日、最期に面会した際にはこう語っていた。

「生かされ感謝しています」

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