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作者はじぶんの絵画を、だれに観てもらいたいのか

 カメは通路内を、気ままに歩き回っている。そうして行く先々には、カメの視界に入りやすい角度で絵画が並べられている。すべての作品はカメに観てもらうため、「カメ目線」で配されているのだ。

 このカメはふだん、千葉正也が飼っているモノなのだとか。どうやら、この大空間における主人が一匹のカメということは明白。主人たるカメに楽しんでもらうため、今展のすべては構成されている。

 

 来訪した人間も、展示を観ることはもちろんできる。ただし、ここでの主人たるカメのお邪魔にならない範囲でどうぞ、といったところか。

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 作者はじぶんの絵画を、だれに観てもらいたいと思って描いているのだろう。なぜ、何のために描いているのか。

 
 

 作品を観る側は、絵画の何を観ているんだろう。観るための資格はないのか、観賞料を払えば無条件に有資格者になれるのか。そもそも何を観たいのか。

 カメのご相伴にあずかって展示を観ながら、そんな問いが頭の中を巡る。会場にいるあいだ頭上にはずっと、はてなマークが点滅しっぱなしである。

 千葉正也の作品世界に、自分の身が丸ごとすっぽり嵌まり込んでしまうような体験を、ぜひ現場で味わってみたい。