特捜部が抱える、もう一つの「起訴相当」事案
東京地検特捜部は現在、もう一つ「起訴相当」の事案を抱えている。
「元経済産業相の菅原一秀衆院議員の秘書らが選挙区内の有権者に香典などを提供した問題です。東京第4検察審査会は東京地検特捜部が公選法違反容疑を不起訴(起訴猶予)とした菅原氏について『起訴相当』と議決しています。特捜部では菅原氏が秘書らを通じて2017~19年、選挙区内の有権者18人に、故人の枕元に飾る枕花計約17万5000円相当を提供し、9人に香典計12万5000円を渡した事実を確認しています。
この問題も『週刊文春』の報道で発覚しました。菅原氏は報道直後の19年10月25日、経産相就任からわずか1カ月半で辞任。20年6月16日に記者会見を開き、違法性を認めて謝罪したことなどから、特捜部は同25日、起訴猶予処分としました。
ただ、この起訴猶予の経緯にも特捜検察の“ご都合主義”が指摘されているのです。検審への申し立ては告発者らに限られますが、特捜部は東京都内の男性の告発を不受理とし、告発不受理からわずか約2週間で不起訴としています。しかも特捜部は不起訴の記録を検審に提出しない異例の対応をしたことから、検審が自ら異例の職権による議決をすると決め、事件の記録を取り寄せ、この男性からの申し立てを『告発した者』ではないとして却下した上で、審査をしていたのです。
菅原氏は菅義偉首相のお気に入りとされ、側近議員などと呼ばれています。経産相への起用も当時官房長官だった菅首相の『引き』によるものとささやかれています。検審への申し立てをさせずに『検審外し』を行い、強制起訴を避けようとしたように見受けられるのは、東京地検特捜部による安倍政権への“忖度”があったためとの見方が有力です」(同前)
黒川氏の問題を略式起訴でうやむやにした上に、安倍元首相の元公設第1秘書も略式起訴で終わらせて「桜を見る会」を巡る一連の疑惑追及を切り上げた東京地検特捜部は、菅原氏の再捜査ではどんな答えを出すのだろうか。