昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/03/21

モデハンが激減…美容業界に起こった革命

 モデハンはモデルさんに来てもらう時間が美容室の営業後など、限られていることが多いため、声を掛けても断られることがほとんどです。必要な練習のモデルが見つからない時は、1日に20人も30人も声を掛け続けることがざらにありました。 休みの日の時間をほぼモデハンに費やしていたと言っても過言ではありません。
 
 元々その手のことが苦手な僕としては辛い日々でしたし、ついぞ得意だと思うこともありませんでした。声を掛けた方にすごい形相で逃げられたこともあるし(不意に男性に声を掛けられ、怖かったのかもしれません)、寒い日にも駅前に立ち続ける辛さといったら……。

マッチングサイトでモデルを探すことが増えている(著者提供)

 なので、モデルを探している美容師と、モデルをやりたい個人をつなぐマッチングサイトができて、モデハンをほとんどしなくて済む現代の後輩を本当に羨ましく思います。 料金が格安で済むため、割り切って毎回マッチングサイトを利用する一般の方も増えているようです。

 しかし、マッチングサイトで気軽にモデルを探すことができるようになった一方、格安がゆえにドタキャン等のモデル側のマナーの悪さが目に付いたり、やりとりをして聞いていた髪の状態と、実際の髪の状態が著しく違っていたり、アシスタントが振り回される場面もよく目にしています。

 モデルさんを使っての練習はお互いの理解があって成り立つものですが、ネット上では写真や文面だけのアポイントメントのため、説明が足りずトラブルになるケースもあるようです。

練習台になって頂いた方に、感謝

 モデハンは「ナンパ」に近く、イメージが悪いと思います。

 しかし、どれだけマネキン(美容師は「ウィッグ」と呼びます)で練習しても、人の頭では同じようにいきません。頭の形や髪質、生えグセや毛量など、人の頭でケーススタディを重ねて、沢山経験をしないと上手にはなれないのです。

©iStock.com

 さらに、限られた時間のやりとりで髪を切ることを了承してもらうには、営業力やコミュ力が必要です。モデハンによってそうした力が鍛えられた部分もありますし、モデルを依頼して以降、お客様としてのお付き合いが続いている方も多くいます。

 貴重な時間を割いて頂いた方々があってのプロの美容師。依頼の仕方は変わっても、結局は人と人。善意でお手伝いいただいた方には、頭が上がりません。あの時練習台になっていただいた方に、感謝です。

この記事の写真(6枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー