1年前のきょう(3月18日)、赤木雅子さん(49)はおびえていた。それまで2年間、ずっと秘密にしてきた夫の「手記」を世の中に公開し、同時に真相を明らかにするため国家を相手に裁判で闘うことにしたからだ。
夫の赤木俊夫さん(享年54)は2017(平成29)年2月、財務省近畿財務局で森友学園との国有地取引に関する公文書の改ざんをさせられ、それを苦に翌年、命を絶った。「手記」は俊夫さんが死の直前に、改ざんという不正を告発しようと書き残したものだ。どうすべきか2年間さんざん迷ったあげく、やっと手記を公開し、国などを相手に裁判を起こした。それが去年の3月18日。この日発売の週刊文春に全15ページの記事が大々的に掲載された。担当の編集者が「こんな大きな扱い、私も経験ありません」と言うほどに。
でも、世間の人たちはどう受け止めるだろう? それが怖くて、とても自宅に一人でいられなかった。前日から東京に避難し、友達に不安をうち明けた。翌18日、俊夫さんの手記を全文公開した週刊文春が発売され、代理人の弁護士が大阪地裁に訴状を出して記者会見を始めた午後2時すぎ、ひっそりと自宅に戻った。自分で記者会見するなんて、とても考えられなかった。
それから1年が経った今年の3月18日を、赤木雅子さんはどういう思いで迎えただろうか? ここからはご本人に語ってもらおう。
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よく眠れるって、素敵なこと
朝早く、目が覚めた。時計を見ると5時46分。たまたま、阪神・淡路大震災が起きたのと同じやけど、目覚めはすっきりしていた。最近ぐっすり眠れるから寝覚めもいい。
1年前のあの頃、不安で、思い悩むことも多くて、なかなか眠れなかった。だから日中もスッキリしないことが多かった。よく眠れるって、なんて素敵なことなんやろう。