日本と違い、ドイツには後背地がちゃんとある
一方で、日本は島国であって、陸続きでうまい具合にエネルギー相互供給をしてくれる隣国はいません。一応ギリギリで韓国とかいう国はありますが、うっかり日本と手を握って日本の大事なエネルギー供給の一部を韓国に任せることになると、ある日突然不思議な言いがかりをつけられて電力供給を止められたりしたら死活問題なので、韓国とのエネルギー面での協調は論外じゃないかと思います。
どうしてもエネルギー政策で言うと、ドイツを見習えとか、テスラ社に学べという話が出てきてしまうわけですが、いくらドイツが原発依存をゼロにしたのだと言っても、依然として隣国の原子力大国フランスからのベースロード電源に一部依存し、同時にロシアからパイプラインを通じてやってくる天然ガスにも頼っているうえ、炭素を排出するドイツ系製造業は製造拠点をEU域内の他の国でやっていたりもしますので、つまりは「ドイツには後背地がちゃんとある」わけです。
EVは本当に環境に優しいのか?
同様に、前述のテスラ社のようなEV自動車メーカーは確かに車づくりとしては画期的な部分もあるにせよ、最終的には車づくりそのものと、その移動の効率で二酸化炭素の排出量は決まってきますので結果的にEV車のほうが二酸化炭素をたくさん出してしまうという可能性もかなり高くあります。
【EVは本当に環境に優しい?】値下げされたテスラ、モデル3、ガソリン車よりもCO2排出が多い問題
https://note.com/kappa03/n/na0c751d9b69f
ここまでくると、いま私たちが直面して困っている大規模な温暖化による気候変動と災害の多発に対して、脱炭素社会を構築しなければならないという偉大な理念の大目標は、実はかなりマーケティング的に作り上げられた虚構の面を振り払いながら「何が本当に炭素排出の削減に繋がり、地球環境の維持に資することができるのか」と考え続ける、実に高度な科学と政治のぶつかり相撲みたいなものであると考えることができます。