経産省でめっちゃ利益相反やらかしてる素敵ビジネスマンや環境省周辺に女スパイみたいなのがうろうろして日本のエネルギー政策に影響力を行使しようとしているのだとすればそれは問題だと思いますし、日本の国富を支えている輸出産業は、依然として素材や部品、自動車などの製造業に依存している割合が高くあります。これらの産業力・競争力の源泉は、人件費ももちろんありますが基本的には安い電力コストや優れた人材、そして研究開発であることは間違いなく、一連の脱炭素の議論はことごとく、日本にとって国際的に不利な競争を強いられていることに気づきます。
ドイツ、中国、アメリカとは戦略的条件がまるで違うのに…
とりわけ、後背地の大きいドイツ(EU)、中国、アメリカなどの国々の置かれている環境と私たち島国・日本とでは、備えている戦略的条件が違います。あれだけ栄華を極めたエジプトが、鉄器時代になってからというもの自領に鉄が出ず衰退してしまったのと同様に、日本は大航海時代末期には銀が枯渇し、明治政府ができても鉄が出ず、戦前は原油がなく、戦後はウランもレアメタルも出ないし、未来社会では常時風が吹く洋上風力発電ができる場所は秋田沖に限られるという、なんとも資源には恵まれていなさすぎるクソ立地です。これがシヴィライゼーションなら「何て場所に京都を建ててしまったんだ」とマップごとぶん投げる勢いです。
そういう難易度ハードモードの令和日本の真っただ中で、環境大臣である小泉進次郎さんが「レジ袋有料化がうまくいったので、今度はプラスチックスプーンを有料にしよう」とかいう、欧州やカリフォルニアの環境左派が主張するような政策を真顔で立案してしまうような状況なのでどうにもなりません。
もちろん持続可能な社会にしていくことには賛同なんですけど、ゼロエミッションなり、カーボンプライシングなり、それらの枠組み・ルール作りに日本の立場や考え方も反映させられるような物言いをできるよう頑張るのが環境大臣の役割なんじゃないかと思うんですが。
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