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第7世代のライバルは芸人じゃなくYouTuber

――お笑い界を席巻する「第7世代」が若者から支持される理由は?

「彼らは最初からデジタルに触れ、今の時代にマッチしている。笑いの在り方がどうこうというよりも、笑いに対する取り組み方が変わったのかなと思いますね。例えば、今はお金を持ってることをオープンにする時代です。『こんなマンションに住んでます』『こんな高級車乗ってます』とかね。僕らの時代は弱さを売りにしていた時代で、『お金持ってるやろ!』ってツッコまれても、『いやいや持ってませんよ』ってイジられて笑いを取ったものです。イジられる材料を捨てて、お金を持っていることをステータスにするように変わった。きっと第7世代の子たちはライバルは芸人じゃなく、YouTuberと思っているはずです」

第7世代で今年のR-1を制したゆりやんレトリィバァ 吉本興業HPより

――自身もNSC出身で、同期には中川家、陣内智則、たむらけんじ、ケンドーコバヤシがいます。当時のNSCと今の養成所の生徒に違いはありますか?

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「僕らのときはもっとギラついていましたね。養成所でほかの同期がネタをやっても笑わない。他人のネタで簡単に笑顔を見せることなんてなかった。でも、そんな中でウケたら、スゴいなというのがあったりしたんですけど。今はみんなすごく笑いますからね。ハングリー精神というよりも仲間とともに和気あいあいとやる感じなのでギスギス感もないです。これは今がそういう時代だということなので、いいも悪いもないです。楽しい中から何かが生み出せればいいんじゃないかという感じです」

ユウキロック氏と同期の中川家 吉本興業HPより

演芸をやってる芸人にとっては吉本興業は最高の会社

――講師として他社の若手芸人を間近で見て感じたことは?

「演芸をやってる芸人にとっては吉本興業は最高の会社だと改めて思います。闇営業騒動のときに、吉本の芸人が振り込み額が1円ですよって明細をTwitterであげたりした。世間の人は『酷い、吉本』みたいな声をあげましたけど、あれは違うと思う。そもそもほかの事務所の若い子はライブでお金をもらってないですからね。勉強の場、ネタをストックする場として、事務所主催のお笑いライブは事務所も赤字でやってますし、出演者もノーギャラが普通です。しかし、吉本は基本的にお金を払わないことはないので、たとえ1円でもライブに出た以上は払ってくれるわけです。振込手数料のほうがよっぽど高くつくのにですよ。その凄さって見落とされている気がするんです」