「携帯電話料金の引下げなど、これまでにお約束した改革については、できるものからすぐに着手し、結果を出して、成果を実感いただきたいと思います」
所信表明演説でそう宣言したとおり、携帯電話料金の引き下げを実現した菅首相。しかし、国民からの支持率は低下の一途をたどっている。その原因は一体何なのだろうか。元経産省官僚の論客、宇佐美典也氏の著書『菅政権 東大話法とやってる感政治』(星海社)の一部を引用し、菅首相が目指している政治のあり方と、国民が首相に求めている姿のギャップを分析する。(全2回の2回目/前編を読む)
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菅政権は何を目指しているのか
国の形を定める憲法のあり方や政権運営の方針を自由に語るパートとして定例化している所信表明の締めに菅首相が何を語ったか見てみよう。構造的に所信表明が具体的な政治課題に関する対処方針の羅列になりがちな中で、このパートは抽象的であるものの自由に好きなことを語れる場として、時の首相の政治哲学が色濃く出る最も重要なパートとして見ることもできる。
「国の礎である憲法について、そのあるべき姿を最終的に決めるのは、主権者である国民の皆様です。憲法審査会において、各政党がそれぞれの考え方を示した上で、与野党の枠を超えて建設的な議論を行い、国民的な議論につなげていくことを期待いたします。
政権交代以降、経済を再生させ、外交・安全保障を再構築するために、日々の課題に取り組んでまいりました。今後も、これまでの各分野の改革は継承し、その中で、新たな成長に向かって全力を尽くします。
携帯電話料金の引下げなど、これまでにお約束した改革については、できるものからすぐに着手し、結果を出して、成果を実感いただきたいと思います。
私が目指す社会像は、「自助・共助・公助」そして「絆」です。自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。その上で、政府がセーフティネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します。
そのため、行政の縦割り、既得権益、そして、悪しき前例主義を打破し、規制改革を全力で進めます。「国民のために働く内閣」として改革を実現し、新しい時代を、つくり上げてまいります。御清聴ありがとうございました」