側道から突っ込んできたミニバン
今回の事件が起きたのは2020年12月19日午後5時過ぎ、茨城県古河市東山田の住宅街にある交差点だった。同日、郊外に自宅兼事務所を構える建築士のK氏(55)は、長年の日課であるジョギングをおこなっていた。
普段なら、周囲の見通しがよい県道17号線の歩道がK氏のトレーニングコースだ。しかし、この日の午後はやや強い北西の風が吹いており、田んぼのなかの県道を走るのは大変だった。ゆえにK氏は風の影響を受けにくい住宅街に向かったらしい。しかし、結果的にこの判断が彼の運命を暗転させた。事件があった交差点付近で理髪店を営む男性は話す。
「側道からミニバンが、一時停止も左右確認もろくにせずに(優先道路である)市道に突っ込んできた。結果、市道を走っていた車と出会い頭に衝突した。そして、ミニバンが跳ね飛んだ先にKさんがいたんです」
宅配便の伝票から御用
K氏の背後には運悪くブロック塀があり、車体と塀に頭を挟まれる形となった。救急搬送を受けたものの、脳挫傷により間もなく死亡する。事情について古河署の捜査関係者はこう話す。
「事故を起こしたのは、車検が切れている古いセレナ。その後の捜査で、別の車のナンバーが違法に貼り付けられていたことが判明した。また、ドライバーは事故の後、被害者を救助せず車両を遺留してその場から逃走した」
もっとも、茨城県警が県内各地のコンビニの防犯カメラを確認したところ、事故以前の12月7日にこの車両が確認され、女が宅配便の発送をおこなっていたことが判明。伝票の住所が手がかりとなり、事故翌日の20日朝に自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反(救護義務違反)容疑でベトナム人女性のジエウが逮捕された。