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樹木希林が「也哉子」の名に込めた想い

 本日のゲストの内田也哉子さんと中野信子さんには創刊号から連載を持っていただいています。お二人には「What is a family !?」というテーマで対談していただきます。お二人は今日が初対面です。そして同学年でいらっしゃいます。お待たせいたしました。内田也哉子さん、中野信子さんのご登場です。

(場内拍手。ステージ左手から内田也哉子さん、右手から中野信子さんが登場し、中央でがっちり握手)

内田也哉子(以下内田) こんばんは、内田也哉子と申します。今日はこんなにたくさんお集まりいただいて本当にありがとうございます。

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 私の『週刊文春WOMAN』の連載はどなたかとの対談を基にしたものが多いんです。そのとき、いつも自分でアポイントメントを取って私ひとりでお会いするんですね。それはなぜかというと、最初にパッと会ったときの素のエネルギーというようなものが私は大好きなんです。なので、今日も中野さんと一切打ち合わせなく、とてもオーガニックな形でお会いできるというので、とても楽しみにして来ました。どうぞよろしくお願いします。

中野信子(以下中野) たくさんの方に来ていただいてありがとうございます。今日は樹木希林展がメインなので、私は福神漬けみたいに添えさせていただく感じなんですけれども。

 内田也哉子さんには以前からずっと興味がありました。まず、お名前が面白いですよね。この字を名前の最初に持ってくるセンス。もっとも也哉子さんのセンスではないんですけど(笑)。

 

内田 也哉子の「也」ですね。これは母が父を大変敬っておりまして、内田裕也の「也」という字が最初にくるということにこだわったんです。字面でいったら、重たい字の「哉」がドーンと先にきて、次に裕也の「也」がくるほうがしっくりきますよね。よく「哉也子」と間違えられることが多いです。

中野 そのセンスも素敵だなと思ったし、すごく哲学的なことも感じさせるんですよね。これはもしかして輪廻みたいなことを意味してらっしゃるのかなとか、終わりが始まりということなのかなとか。

内田 たぶんそこまでは計算していない(笑)。

『なんで家族を続けるの?』(文春新書)

中野 (笑)。ヤヤコという響きもいいですよね。「ややこ」は赤ちゃんという意味ですよね。希林さんはそういう素のままの語感をすごく大事にされる方だったのかなとか、いろんなことを思いました。

内田 樹木希林も変わった名前ですけど、母は重なる音が好きだったみたいです。

中野 ああ、そうなんですね。すごく音楽的な感じがしますよね。音楽をずっと生業とした内田裕也さんを好きになったのもわかるような気がして。

内田 母はロックとかまったく興味がなかったみたいなんですけど、出会ってしまったということだったみたいです。

中野 お互い惹かれ合ってしまったんですね。