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アホウドリのレズビアンが子孫を残す方法

内田 えっ。どうやって子孫を残しているんですか?

中野 と思うでしょ。そのときだけオスと浮気するんですって。

内田 うわ~。

中野 そしてそれぞれの奥さんの元に帰って──まあ、どっちも奥さんなんだけど──、子育てはメス二人でするんですって。

内田 それって一夫多妻制に近い? 人間の言葉で定義づけると。

中野 近いんですかね……一夫多妻なのか……ん? 一妻……。

内田 一妻多夫?

中野 そうかな? それもパンセクシャルな。オス×メスのカップルも居て、3分の1はメス×メスのカップルで、うまくいけばそれでいいわけですよね。別に人間でもそういうカップルが居てもいいのでは? 子どもをつくるときだけオスとちょっと浮気して(笑)。

内田 いきなりすごい話になった(笑)。

中野 現在は精子バンクもあるから、オスと浮気しないで精子バンクを利用してもいいんですけど、いずれにしろ子育てはメスのコミュニティでするというあり方も、なかなか楽しいかもねと私は思ったりするんですよね。

内田家の家族のカタチはじつはノーマル!?

内田 ははあ、人間にとどまらず生物界まで広げて考えてみると、うちの家族のカタチというのは大して変なわけではないわけですよね。人間界だと、やたらと「変わった形態のお父さん、お母さん」というふうに言われるんだけれど。

中野 意外とノーマルかもしれません(笑)。確かに多様性という表現が似合うご家族ではあるんですけど、生物界から見ると、そういうのもありっていう感じですよね。

週刊文春WOMAN 内田也哉子さん連載「BLANK PAGE」第1回 Driving My Motherより 毎号、絵を描くGentoとは次男の玄兎さん

内田 でも、やっぱり子どもの立場からすると、どうしてうちは家にお父さんが居ないんだろうという思いはありました。それは人間界の常識が植え付けられているからかもしれないんだけれど。母は年に一回、6月の「父の日」に私を父に会いに行かせたりして、ずっと家に居ない父を象徴化して大切にしていたんです。そうする意味は、母に聞いても最後まで私が腑に落ちるような答えは得られなかったんです。でもそれは、生物界からしたらまったくOKというか、まったくノーマルなほうということですね。

中野 まったくOKです。

内田 とらえ方の問題なんですね。

そんな状態で結婚できると思います?

中野 そうですよね。私の家は私が高校生のときに両親が離婚しているんです。私たちの世代は、離婚について、まあ、そういうこともあるよねというふうにとらえるようになり始めた最初の世代だと思うんですけど、私たちより上の世代の方は、ご両親が離婚していると私立のいい学校に入れさせてもらえないなどという話がありませんでしたか? 離婚をずっとしないっていうことのほうが重要視されたというか、離婚したご家庭は偏見で見られるというようなことがあったと思うんです。

内田 ご両親の離婚については伏せていたんですか?

中野 伏せてはいないんですけど、28歳ぐらいのときに結婚しようと思った人が居たんです。

内田 今のご主人ではない人?

中野 ではない人です。

内田 そうなんだ。

中野 私は、あることを言われて、その人との結婚はあり得ないと思ってお別れしたんですけど。なんて言われたかというと、「君は壊れた家の子だからね」って言われたんです。

内田 ええっ。

中野 そんな状態で結婚できると思います? 絶対にうまくいかないですよね。その人は某K高校という名門男子校を出て、某T大学という国内でも有数の有名大学を出ている、いま思えばいけ好かないエリートのお坊ちゃんでしたね……。