3月28日の放送で『ちびまる子ちゃん』のナレーションから卒業するキートン山田。現在75歳。1990年の放送開始から31年間、1445回にわたってまる子たちを見守り続けてきた。「後半へつづく」という文字を見るだけで、あのどこかとぼけた声を思い出す人は多いのではないだろうか。
最後の出演回の収録を終えたばかりのキートン山田に、今の思い、さくらももこさんとの思い出、『ちびまる子ちゃん』でナレーションを入れるときに心がけていたことなどをじっくり語ってもらった。
『ちびまる子ちゃん』最終収録を終えて
――昨年末、山田さんが『ちびまる子ちゃん』からの卒業と声優業の引退を発表するというニュースを見て、大変驚きました。先日、最後のアフレコが終わったそうですね。
山田 (2月)26日ね。今はちょっとホッとしているだけで、実感はないです。まだオンエアも残っているしね。それを美味い酒を飲みながら観終わったら……それでも本当に「終わった」と思えるかわからないですね。
――最終回は特別な演出があるとお聞きしました。最後の収録はどのように行われたのでしょう?
山田 今はコロナの影響でひとりずつ収録を行っていますが、そこだけはTARAちゃん(TARAKOさん)に「一緒にやってくれる?」とお願いしました。彼女は泣いてましたね。僕も頑張りましたけど、今までで一番NGを出したんじゃないかな。普通じゃいられない感じでした。やっぱり心動きましたよ。
――31年間、ナレーションを務めてきたわけですからね。
山田 スタジオに入ったら、ものすごい人数の人たちが待ち構えていて、「お疲れさまでした!」と言ってくれたんです。それがなければ、もっと普通にできたのに(笑)。いろいろな人とお話をしたり、写真を撮ったり。特別な一日でしたね。あの雰囲気は忘れられないな。
――卒業と引退のことをいち早くTARAKOさんにはお伝えしていたそうですが、いつ頃お伝えしたのでしょう?
山田 (卒業が)発表される1週間ぐらい前です。直接伝えられて良かったです。「本当に辞めるんですか?」「どうしても辞めるんですか?」と言われました。卒業は僕のわがままですから、心苦しさはありますね。ただ、卒業を考えたのは10年前ぐらいですし、30周年も過ぎたので、もういいんじゃないかなって。