1ページ目から読む
5/5ページ目

『ちびまる子ちゃん』登場回の舞台裏

――『ちびまる子ちゃん』のナレーションで心がけていたことは何でしたか?

山田 とにかく健康管理が一番。あとは、あくまでもドラマの流れの中のナレーションだと忘れないようにしていました。突出した存在ではなく、常にドラマに寄り添う存在として、出すぎず、引っ込みすぎず、ということですね。

 コロナの前は、みんな一緒に収録していましたから、ドラマの内容によってナレーションの入り方も変わるんですよ。役者の体調にも変化があるので、それも感じながら。あくまで流れに沿ったナレーションなんです。

ADVERTISEMENT

――悲しい話は悲しく、ですか?

山田 ベタッとした感じは殺して、ほんの少しだけ気持ちを乗せます。寄り添いすぎてもダメなんですよ。その加減を調節できるのは自分しかいないんです。

――さくらさんが『ちびまる子ちゃん』の本編に山田さんを登場させたことがありましたね(「まる子 海水浴に行く」92年8月9日)。

山田 あれは知らされてなかったのでびっくりしましたね。登場人物も「あ、キートン山田だ!」って言いますから(笑)。

©深野未季/文藝春秋

 

――おじいさんの友蔵さんが「キートンさん、頼むからわしのことを笑いものにするのはやめとくれよ」と言うと、「それは無理な相談である」と断るんですよね。

山田 もうほとんど覚えてないなぁ。あ、最後は空に帰っていくんだけど、音響監督の本田(保則)さんに「一言アドリブください」って言われたんだ。いきなり本番で何も思いつかないから「である!」って言ったんだった(笑)。

――思い出深い『ちびまる子ちゃん』ですが、これからもご覧になりますか?

山田 はい、これからもずっと毎週観ようと思っています。それで「あいつ風邪ひいてんな」とか「何か悩んでるのかな?」とかを楽しみたいと思います(笑)。現役だった頃を思い出していれば、老けることはないでしょう。元気をもらうために観続けていたいですね。

 44歳から30年、人生の一番激しい時期を一緒に過ごした作品です。思い出がいっぱい詰まった作品ですよ。