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「もっと言ってもらっていいですか?」ベッキーのリクエストに応え続けた名声優・キートン山田さんの思い出

2021/03/28

キートンさんとの個人的な思い出

 ここから筆者の、キートンさんとの個人的な思い出を綴らせていただく。文筆業の傍ら、映像製作も手がけている筆者は、’99年にバップから発売されたビデオ・シネマ『犬刑事(いぬでか)』全2話のナレーションをキートンさんにお願いした。もちろん山田俊司時代からのファンであり、『ちびまる子ちゃん』の名調子を意識してのこと。『ちびまる子ちゃん』がクールな断定調だったので、こちらのナレーションは「するってぇと」的な江戸弁で統一した。アフレコ(録音)現場でも、NGひとつ出さずに粛々と進められるキートンさんの芸達者ぶりに改めて敬服したことを昨日のように思い出す。

『ちびまる子ちゃん』のキャラクター(公式サイトより)

 この『犬刑事』、ひょんなことから子犬が犬人間になり、刑事になった犬刑事こと柴田純(分かる方には解るネーミング)の声を関智一さん、ライバルの猫のヤクザ・又三郎の声を『ルパン三世』(’71年~)の次元大介の小林清志さんに演じていただいたり、『機動戦士ガンダム』のリュウ・ホセイ役の飯塚昭三さんや『ゲッターロボ』の巴武蔵役の西尾徳さん、『マジンガーZ』(’72年)の3代目弓さやかこと江川菜子(現・太地琴恵)さん、『おジャ魔女どれみ』シリーズ(’99年~)の妹尾あつ子役・平辻朝子さん、『重戦機エルガイム』(’84年)のファンネリア・アム役の本多知恵子さんが顔出しで出演していたりと、今では考えられない豪華声優キャスト陣でもあった。

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 小林さん演じる猫のヤクザが天に向かって「キートンさん、お願いします!」と叫ぶと、それを受けたキートンさんが「はいはーい」とキャラ説明を始めるといったお遊びも満載で、思い出深い作品だ。