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――コ・ドライバーは、ドライバーによってペースノートや走行中の対応の仕方も変わってきますか。

梅本 かなり変わりますね。猛スピードの中ドライバーさんをナビゲートするので、正確に情報が伝わらないと混乱するし、2人の感覚が一緒になるよう、すり合わせは必須です。さらに、ドライバーさんによって伝え方やタイミングもまちまち。危ないところは大声で言って欲しい人もいれば、淡々と読んで欲しい人もいます。ベテランの方になると各自の言葉を持っていて、カーブが来たらこの言葉で行って欲しいと言われ、瞬時に変換して伝えますね。

 また、一度ラリーが始まるとドライバーさんと2~3日一緒に過ごすので、いかにドライバーさんがいい精神状態を継続できるかもポイント。「いーね、いーね」と持ち上げて走るドライバーさんもいれば、逆にテンションが上がるとミスが増える人には、良かった場面があっても言わないことも。人に合わせてこちらでの対応も変えますが、それがどんなラリーの展開に発展するか、コ・ドライバーとしても面白いところです。

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ドライバーに自分の運命を委ねて

――SS(走行する区間)の時間は車体やクラス、大会によって異なると思いますが、長いと20分、短いと3分の場合もあるとのこと。ラリーの動画を拝見すると、あのスピードの中「暑い!」など、普通に話せているドライバーさんもいますね。

梅本 逆にそれくらい冷静さが求められるのかもしれません。レッキで十分にペースノートを作っても予想外のことが多々起きます。前に走っていた車が急にクラッシュして止まっていたり、突如雨に降られて路面状況が変わったり、目の前に岩がドンと置かれて、早く切り抜けないと私たちのタイムに影響してしまうことも。トラブルが起きたら、私の場合は携帯でチームに連絡しますが、常にアクシデントと隣り合わせです。

©今井知佑/文藝春秋

――コ・ドライバーはドライバーに自分の運命を委ねることに不安はないですか。

梅本 私は怖さはないですね。まだ自分が乗っている車が横転したことはないですが、コ・ドライバーをやっている以上なったらなったでしょうがないかなと。自分がドライバーだったらそう思えないでしょうけど。それ以上にドライバーさんが運転するからこそ見える世界や、そこにいられる光栄。自分がいいパスを出すことによって車が進んでいく魅力の方が大きいかも。