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ドライブスルー婚活

 他の結婚相談所もこぞってオンライン婚活を導入し始めた。

 一方、LMOは今後、オンライン婚活だけでなく、対面式のイベントにも力を入れていく計画だ。「コロナ禍では対面は難しいのでは?」という外野の声にも、アイデアマンの高田さんは動じない。

 5月下旬には、熊本市で男女11人がマイカーに乗ったまま参加する「ドライブスルー婚活」を初めて開催した。参加者ははじめ、離れて駐車し、Zoomを使って車内で自己紹介する。その後、男性が自分の車を女性の車のそばに近づけ、窓越しにお互いの姿を見ながら、スマホで一対一の会話を順々にしていく「ハイブリット型」のイベントで、カップルも2組誕生した。

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©iStock.com

 福岡市と佐賀県唐津市では「スナック婚活」もスタートした。唐津市のスナックには男性が、福岡市の方には女性が参加するシステム。そして、男女がオンラインで画面越しに自己紹介し合い、気に入った異性が見つかれば、一対一で話をすることもできる。スナックといえば人生経験が豊富で相談に乗ってくれる「ママ」の存在が大きい。実際にスナックでは、ママの紹介で結婚につながるカップルもいる。コロナ禍で厳しい状況が続く飲食店同士がオンラインでつながり、県域を超えた新たな婚活の場として脚光を浴びるかもしれない。

 高田さんは、

「オンライン婚活は、新しい出会いや交流の場として広がりつつある。同じように、新しい生活様式にあったサービスをどんどん考えていきたい」

 と意気込む。

 オンラインでの婚活パーティーや告白、バーチャル同棲、プロポーズの中継……。二人の結婚までのストーリーはどれも初めて聞く斬新な内容ばかりだった。経緯を文字にすれば、たしかに初めて会った翌日に結婚したことになる。でも、よく考えてみれば、ビデオ通話などのオンラインという「ツール」が新しいだけで、出会いから告白、求婚というやりとりは、一般的な恋愛となんら変わらない。オンラインはお互いの動く姿が見える安心感があり、メールが主流のネット婚活よりも一段進化した印象を受けた。

見つけた答えは

 コロナ禍で人生を見つめ直し、オンライン婚活を始めた男性にも出会った。

 首都圏に住む自動車メーカー勤務の元気さん(仮名)。大学時代はラグビーをしていたという体育会系の41歳で、明るく朗らかでおしゃべり好きな印象だ。ほぼ毎晩仕事終わりは同僚と飲み、週末は趣味のボルダリングを楽しみ、これまで結婚を真剣に考えたことはなかったという。

 ところが、コロナの感染拡大よって状況は一変する。

 4月頃から仕事は原則在宅勤務になり、飲み会など「不要不急」の外出も制限された。最初は仕事仲間や大学の同期を誘ってオンライン飲み会を開いたが、「妻がいい顔をしない」「ダラダラ続くのが嫌」と段々参加者が減っていった。昔つきあったり、デートをしたりした女性たちにも連絡を取ったが、みんなつれない様子だった。

 そして、誰かと仕事以外の話をする機会が激減した。

「自分は人気者で友達が多いと思ってたのに、他の人には家族や恋人がいて、いざ非常事態になったらひとりぼっちだった。生まれて初めて孤独を感じた」

 と弱音を吐いた。