ジブリ映画『ハウルの動く城』(2004年)が4月2日に「金曜ロードショー」で放送される。その前作にあたる『千と千尋の神隠し』(2001年)にも出演し、誰もが記憶しているアオガエル役を演じたのは、俳優・我修院達也さん(70)。「人間以外の声をやるのは初めてだった」という“怪優”我修院さんが抜擢された経緯や、『千と千尋の神隠し』にまつわる“秘話”について、じっくり話を聞いた。(全3回の1回目/#2、#3に続く)
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「ごめんなさいね、人間の役じゃなくて」
――声優としても活躍されている我修院さんですが、そのデビュー作となったのが〈青蛙〉を演じた『千と千尋の神隠し』ですよね。どういった経緯で出演することになったのでしょうか?
我修院 スタジオジブリからオファーが来たんです。オーディションもなく、最初から〈青蛙〉役には僕が決まってました。ジブリに伺って宮崎駿監督に「はじめまして」とご挨拶をしたら、「ごめんなさいね、人間の役じゃなくて」と仰って(笑)。で、「どういう声質でやったらいいですかね?」と尋ねたら、「あなた、なにかの映画で変わった殺し屋の役をやっていたでしょう? あれのキーをもうちょっと高くしてやってもらいたいんだけど」と。
――殺し屋で出た映画というのは、石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』(98)ですよね。
我修院 そうです。山田正一という殺し屋。宮崎監督は『鮫肌男』をたしかテレビで観ていたそうなんですよ。それで山田を演じている僕の声を聞いて、〈青蛙〉を頼もうと思ったんですって。なんだか、すべてがご縁で繋がっていると思っちゃうよね。繋がっているのは、眉毛だけじゃないんだなって(笑)。
ただ、山田のキーを高くするとなると『鮫肌男』の後に石井監督と組ませてもらった『PARTY7』(00)で演じたイソムラ忠というヤクザの若頭の声になるんです。これも実に変わったキャラクターなんですけどね。で、宮崎監督に「じゃあ、『PARTY7』の若頭でどうですか?」って訊いたら、「その映画は知らない」って即答で返された(笑)。
――〈青蛙〉は声優として初めてのお仕事だったのですか?
我修院 それまでにも洋画の吹き替えとかはやってはいたんですけど、“キャラ声”は初挑戦でしたね。ヒット作の声を当てたという点でも初めての経験になりました。