4月2日、「金曜ロードショー」でジブリ映画『ハウルの動く城』(2004年)ノーカット版が放送される。魔法使いのハウル(木村拓哉) とともに、主役級の輝きをみせる“火の悪魔”カルシファーを演じたのは俳優の我修院達也さん(70)だ。今年で芸歴65年の節目を迎える我修院さんが、郷ひろみのモノマネで一世を風靡し、“怪優”として独自の立ち位置を確立するまでの軌跡を伺った。(全3回の3回目/#1、#2から続く)
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木村拓哉さんとは『ハウルの動く城』の前にも共演
――『ルパンの娘(第2期)』(20)で演じた山本猿彦という老執事が、これまたインパクトの強い役柄でした。この作品と役で、また新たなファンを獲得したのではないですか?
我修院 たしかに、あれを見て調べてくれる若い子はいますよね。我修院達也って名前が出てくるから、「誰、これ?」なんて言って調べるんじゃないですか。
そういえば、木村拓哉さんとは『ハウルの動く城』の前にも共演してるんですよ。2001年に放送した『世にも奇妙な物語 SMAPの特別編』の「BLACK ROOM」という、石井克人監督が手掛けたエピソードでご一緒しています。木村さんが演じたナオキという青年の妹役で、マサコっていう名前。妹といっても、このまま長い髪のカツラを被ってるだけで、劇中で木村さんに「なんだ、親父より年上に見えるぜ」って言われるの(笑)。
――郷ひろみのモノマネをしていた若人あきらで一世を風靡されて、我修院達也になってからも『鮫肌男と桃尻女』(98)や『茶の味』(03)といった石井克人の作品、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(01)、『ハウルの動く城』(04)で俳優、声優としての独自の立ち位置を確立……と、芸歴の長さゆえにファンの年齢層も幅広そうですね。
我修院 6歳の時に子役として芸能界に入ったからね。今年で芸歴65年になります。かつて『ダウンタウンDX』に出た時、芸歴ランキングという企画があって、僕の芸歴50周年超えが2位でした。自分でも長いことやってるんだなぁと思ったけど、そこからさらに15年くらい経ってますから。
『異母兄弟』(57)という映画がデビュー作で、その作品に出ていた人で存命なのは僕と中村嘉葎雄さんくらいでしょう。僕は中村さんの少年時代を演じてるんですよ。主演は33歳だった三國連太郎さん。「役になって生きるんだ」と教わりました。大人になってからだんだん意味がわかって、凄みのある素晴らしい役者さんだと思いました。