鋭角も強烈な「4畳3階建て」のマンション
鋭角な三角形、しかも3フロアで1区画を構成するという強烈な間取り図がこちら。玄関は2階にあり、倉庫のような鉄製の引き戸をスライドして部屋に入ることになる。
間取り図を見れば、その“余裕のなさ”がひしひしと伝わってくるだろう。面積の半分近くを階段が占めているため、それ以外の設備はぎゅうぎゅう詰めだ。中層階にあるのが「ロフト」というのは奇妙だが、ものを見ても「たしかに、これはロフト」という感じのつくりになっている。
設備には「シャワー」「トイレ」「台所」「居室」「ロフト」がある。したがってこれは、3階建てでありながら、ありふれた「ロフト付きワンルーム」と機能的に同一ということになる。
「ゆっくり不動産」氏の語るところによれば、この建物を設計した「ビーフンデザイン」という建築事務所は、変則的な「ワンルーム」物件を作るのが得意なのだとか。しかしこの変則ぶりには恐れ入る。
「もとは細長い敷地だったんです。部屋が鋭角なのは道路の拡幅計画があるからで、すぐそばの道路が拡張されても、建物本体を切り取らなくて済むようになっています」
工事中の画像を見ると「なるほど」と思わされる。道路側から大きく下がる地形で、普通の人がこの土地を買っても、家庭菜園かプレハブ置き場になるのが関の山だったろう。
住まいを建てるためには接道(道路に面していること)が必要だが、玄関を中2階にすることでそれが可能になった。所在は東京23区、過密都市ならではの産物である。
居住面積としてはいたって狭小だが、縦方向に余裕があるため、心理的には広ささえ感じるこの物件。一人暮らししかできないし、「終の棲家」にもならないが、こういう秘密基地のようなところに一度暮らしてみるのは楽しいかもしれない。
ちなみに、同じ建物の他の部屋には空室があり(2021年3月時点)、そちらの家賃は7万円台だとか。
“実験的リフォーム”で生まれた回遊性抜群の新婚向け物件
一見しただけでは「普通かも?」と思ってしまう、福岡県内の物件の間取り図。広々としていて贅沢だが、割と常識的な構成に見える。
しかし実地の動画を見ると、なかなかの珍物件であることがわかる。玄関を開けると巨大なシューズラックが出迎えるほか、玄関と洗面台の間には遮るものがなく、すぐに手を洗えるようになっているのだ。衛生に気を使う現代ではありがたい仕様である。
この物件のキーワードは、ズバリ「回遊性」だ。かつての日本建築の特徴は回遊性だったというが、風通しの良さはそれ以上である。