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リビング37畳なのに風呂が「外」、一部屋3.5階建てのワンルーム…工夫で生まれた「ナゾの間取り」

リビング37畳なのに風呂が「外」、一部屋3.5階建てのワンルーム…工夫で生まれた「ナゾの間取り」

人気の「物件YouTuber」に聞いてみた。

note

「一部屋あたり3.5階建てのワンルーム」

 

 都会にありがちな間取りといえばワンルーム。単身生活を送る上で必要最低限の空間であり、「ゆとりがある」とは言い難いが、都市空間の事情からワンルームマンションは多い。

 ところが、名目上は「ワンルーム」でありながら、妙な「ゆとり」を感じてしまう物件が東京にある。設計は、先に紹介した三角形の部屋と同じく「ビーフンデザイン」による。

 現地に着くやいなや、1階に勢揃いした大量の玄関扉が出迎える。その数なんと9枚で、まるで蜂の巣のよう。気をつけないと間違えて、他人の部屋に上がってしまいそうだ。

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 内装も面白い。ある部屋では、玄関を開けるといきなり階段があり、2階・3階が居室になっている。さらに3階からはしごを挙がるとロフトもある。「一部屋あたり3.5階建てのワンルーム」と説明すると実に奇妙だが、キッチンと居室が一体になっているので、たしかに実態は「ロフト付きワンルーム」なのである。

「ゆっくり不動産」チャンネルの動画「【変わった間取り】立体に入り組みすぎて解読不能なロフト付き物件を内見!」より。空間を立体的に使った間取りには妙な「ゆとり」を感じる。

 この建物には、それぞれ間取りの異なる「ワンルーム」が9室ある。部屋によっては、1階にすべての設備が集まっていたり、水回りだけが1階にあったりする。動画で紹介されていたような「3階+ロフト」がある間取りは、9室中4室だ。

 文章で伝えるのも限度があるため、ぜひとも全体の間取り図を眺めていただきたいのだが、この建物の構造は、マンガ『遊☆戯☆王』に出てくる「千年パズル」のような複雑さである(色分けされている部屋同士が階段でつながっている)。

 いったいどうして、そんなおかしな間取りができてしまうのか。「ゆっくり不動産」氏によると、こちらもふざけて作ったわけではなく、必然的なものなのだという。

「実はこの土地、建築基準法で本当ならマンションが建てられない土地なんです。ただ、『マンション』は建てられなくても、全部の部屋の玄関が1階にあれば『長屋』として建てられる。それで、こういう複雑な構造になっているのです」

 特殊な立地に堂々9部屋の集合住宅を完成させるのは、もはや魔法としか言いようがない。ナゾの間取りは、そんな理屈とテクノロジーの産物だったのだ。

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【参考】今回とりあげた「ゆっくり不動産」チャンネルの動画

【変わった間取り】オフィスを住宅に改装した巨大メゾネット1LDKを内見!
【変わった間取り】細~い三角形メゾネット物件を内見!設計の裏話が面白すぎた
【面白物件】間取り図で表現できないカラクリ系2LDKを内見!
【変わった間取り】驚愕のメゾネット物件を内見したら○○の天国だった!
【変わった間取り】立体に入り組みすぎて解読不能なロフト付き物件を内見!

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