NBAの2020~21シーズンはそろそろ佳境――。トロント・ラプターズは8年連続プレーオフ進出を目指して厳しい戦いを続けており、その中で日本人史上2人目のNBAプレーヤー、渡邊雄太は再び試練の日々を経験している。

NBA選手として正念場を迎える渡邊雄太 ©️AFLO

後半戦はNBAでのキャリアをかけた勝負の舞台に

 紆余曲折を経て迎えた今季、渡邊は一時は強豪ラプターズのローテーションに定着したといっても大袈裟ではない立場を築いていた。しかし、八村塁との対決が注目された2月10日のワシントン・ウィザーズ戦を左足首捻挫で欠場して以降、プレータイムは徐々に減少傾向。2月5日のブルックリン・ネッツ戦から2月19日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦まで、5試合連続無得点というスパンもあった。

 3月に入ってもこの流れは変わらず、特に19日のユタ・ジャズ戦から8試合中5戦で不出場に終わり、その中で10分以上プレーしたゲームはゼロ。プレーオフに向けて負けられない状況が続くラプターズで、役割を確保し続けるのは容易ではない。26歳とプロアスリートとしてはもう若いとはいえない渡邊は、再び正念場を迎えているのだろう。来季以降まで目を向けても、今季後半戦はNBAでのキャリアをかけた勝負の舞台になるといっても大袈裟ではあるまい。

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のし上がってきた今シーズン

 ここに至るまで、今季前半戦が渡邊にとって大きな意味がある時間だったことは間違いない。キャンプ時点ではノーギャランティーの契約だったが、トレーニングキャンプとオープン戦で実力を誇示し、開幕前に2ウェイ契約を獲得。シーズン開始後もハードワークと守備力が認められ、徐々にプレータイムを増やしていった。

 ちなみに、2ウェイ契約とは基本的に下部リーグ(Gリーグ)の所属ながら、条件付きでNBAでの試合出場も可能になる契約形態。通常NBAチームはそれぞれ最大15人の選手をベンチ入りさせてレギュラーシーズンとプレーオフを戦うが、2ウェイ契約の各チーム2選手もシーズン中は試合数の制限つきながらプレーが可能になる。