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「ああいうダンクをかまされると、笑いものにされるんですけど…」語られた覚悟

 ただ……このように行く手に様々な形で逆風が吹き始めても、渡邊の闘志は衰えていない。勝負の終盤戦に向け、さらに意欲を燃やし、モチベーションを掻き立てられていると言って良い。エドワーズのダンクで全米的に有名になった後でも、渡邊の中にあのプレーを後悔する気持ちはまったくないようだ。

「ああいうダンクをかまされると、笑いものにされますし、悪い意味で有名になったりもするんですけど、僕の場合、あのダンクをブロックに行かないという選択肢は絶対にありえない。あれを見過ごして簡単にツーポイント(2点)やられるくらいなら、ダンクされたほうが(まし)。ああいう状況ってみんな、ネット上でバーっと広まるのを恐れて、よけてる人がほとんどなんですけど、僕はそれをしだすと、もうここにいるべきではないと思いますし、プレータイムをもらうべきではないと思っています」

 3月3日、初のスタメン出場を果たしたデトロイト・ピストンズ戦後、あのプレーについて聞かれた渡邊は自分の思いをいつも通り冷静にそう説明した。

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 頭上からダンクされた件で有名になって以降、こうやって自分の口で語れる日を求めていたのだという。ここで丁寧につないだ言葉は、渡邊のバスケットボール選手としての想いやプライド、信条をわかりやすい形で表していたのかもしれない。

「同じシチュエーションが今後あれば、毎回(ブロックに)跳びます。100回のうち99回ダンクされても、1回ブロックができる可能性があるのなら、僕は必ず、ああいう場面ではブロックに跳びます」

 ドラフト外という形でNBAの世界に足を踏み入れて以降、渡邊は常に後がない戦いの日々に身を置いてきた。過去3年、世界最高のリーグとその周辺で瀬戸際のバトルを続けてきた。そんなアスリートの覚悟が感じられるこれらの言葉は、一部の米メディアにも取り上げられ、大きな話題を呼ぶことになった。

ジョージ・ワシントン大学2年生時、ドライブする渡邊雄太。平均得点も伸ばしながら地元カンファレンスの最優秀守備選手賞を受賞するまでに成長 ©️AFLO

 また、2ウェイ契約の制度変更に関してもほとんど意に介していないという。

「2ウェイのままでも活躍すれば来シーズン以降、本契約は絶対にもらえる。50試合のルールがあろうがなかろうが、しっかり試合に出て、活躍すれば先に繋がる話なので、それに関しては全然気にはならなかったですね」