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「小泉首相も知っているはずです」

 プロジェクトに参加していたのは、関電の関係者ばかりではない。錦織技術事務所には、代表の錦織以下、8人の技術者や総務担当者が集結。国土交通省や日本道路公団のOBが役員を務める会社の代表者が研究員として参加し、総合商社の丸紅OBなども顧問に入っていた。かなり大がかりなプロジェクトだ。関電の取引業者が話す。

「今回のプロジェクトには大手商社や重機メーカーなども参加しています。もちろんこの動きは、小泉首相も知っているはずです」

 拉致問題に対する国民感情としては、許されないかもしれない。だが、これが国交正常化を見すえたこの間の政治や企業のありようだったのである。「錦織レポート」には、次のような記載もある。

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〈当社(錦織技術事務所)の設立と時を同じくして、小泉首相が訪朝する等日朝間の国交正常化に向けた大きな動きがあったものの、その後進展が見られず一進一退の状況の中で、共和国の電力事情が更に悪化していることから、当社は国交正常化後の電力関係を主体としたインフラ整備について共和国の電力・石炭工業省と打ち合わせを行なうとともに、金進哲先生にも書状で数回に亘り当方の考え方及び、取り組み状況を報告する等国交正常化後の対応について話し合いを進めて来た〉

 まるで、ときの日本政府と連動しているかのような事業の進め方である。さらに、こうも記されている。

〈その後、小泉首相の第2回訪朝を機に国交正常化への機運が高まったことから、当社は共和国のインフラ整備を本格的に遂行するための基本的打ち合わせをマレーシアのクアラルンプールで実施した。

 その結果をもとに共和国として最も重要かつ早期整備を必要とする電力関係について、共和国技術者と技術交流するため電力関係技術者総員8名を第1回使節団として派遣したものである〉

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