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 コロナの影響が強まって以降、坂本さんは、女性たちへの声掛けの際に、個包装したマスクを手渡すようにしている。そのマスクには、お金や住まいで困った時、性暴力の被害に遭った時に相談できる連絡先が記されたカードが添付されている。

 4月に緊急事態宣言が発出された直後の歌舞伎町は、人通りが途絶え、無人の街のように静まり返っていた。そんな中でも、路上で立っている女性たちの姿は、終電がなくなった深夜1時過ぎ頃まで見られたという。

坂本「女性たちから積極的に声をかけてくることはありません。警察による検挙を警戒している、という理由もあると思います。一般的には、男性から声をかけて料金等を交渉し、お互いの合意が成立すれば、近くのホテルに向かう、という流れです。

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 路上に立っていた一人の女性に話を聞いてみると、「普段は他の地域のデリヘルで働いているが、客が来ないので収入が激減し、家賃の支払いも難しくなったので、お店での待機時間以外は外に出て稼ごうと思った」とのことでした。

 遠方からやってきて、繁華街の中にあるネットカフェ等に連泊して稼いでいる女性もいれば、徒歩圏内に友達とルームシェアをしている女性もいます。ただ、現在進行形で路上での直引き売春をしている女性は、歌舞伎町全体でも数十名程度。100人もいないのではと思います」

彼女たちが路上に立ち続ける理由

 これだけSNSや各種アプリ、出会い喫茶など、割り切った交際関係を求める男女が出会う仕組みが整備されているご時世に、在籍している性風俗店で稼げなくなったからと言って、いきなり「路上に立つ」という選択をする女性は決して多くないだろう。コロナ禍の夜の街であれば、なおさらだ。

「路上で客を取る」という言葉からイメージされるのは、お店に在籍しても稼ぐことができず、面接にも通らないため、仕方なく路上に身を晒す女性の姿だ。行き場のない未成年の家出少女や、知的障害などのハンディキャップを抱えた女性、通常の性風俗店では働けない性的マイリティの人が集まっているのでは……と考える人もいるかもしれないが、坂本さんによれば、実際の現場は決してそうではないという。